【AsianScientist】 シンガポール人は長寿化するも、必ずしも健康とは限らない

世界規模の調査により、多くの人がより長く健康に過ごしているというよりも、慢性疾患と向き合いながら生きる年数を増やしていることが示唆された。(2026年9月29日公開)

新たな世界規模の研究によると、シンガポール人は世界最高の平均寿命と健康寿命を有する一方で、病気や障害を抱えて過ごす年数も以前より増しているという。

ワシントン大学健康指標評価研究所(IHME)が主導し、シンガポール国立大学(NUS)ヨン・ルー・リン医学部と共同で実施したこの研究では、1990年から2023年まで204か国の健康データを分析した。

この研究は、「罹患ギャップ」――人が生きる期間と健康な状態で生きる期間の差――に焦点を当てたもので、シンガポールを含むほぼすべての国でそのギャップが拡大していることが分かった。1990年以降、シンガポールの罹患ギャップは約2.35年拡大し、26.6%増加した。これに対し、世界全体の増加率は21.9%であった。

『The Lancet Public Health』誌に掲載されたこの調査結果は、シンガポールが早期死亡の防止や寿命の延長で著しい進歩を遂げた一方で、高齢期における慢性疾患や障害の負担を軽減するという点では、その効果が限定的だったことを示唆している。

「平均寿命および健康寿命においてシンガポールが世界的なリーダーとしての地位を確立していることは、公衆衛生上の大きな成果です」と、本研究の共著者で、NUS医学部NUS-IHME世界疾病負担研究センター所長のマリー・ング(Marie Ng)准教授は述べた。「したがって、シンガポールにとっての次の課題は、単に寿命を延ばすことではなく、生涯にわたる慢性疾患、障害、機能低下の負担を軽減することにあります」

同准教授はさらに、これには、人々が加齢しても健康で自立した生活を維持できるよう、より強力な予防策、早期介入、リハビリテーション、そして継続的な支援が必要になると付け加えた。

世界的傾向とジェンダー・ヘルス・パラドックス

シンガポールで観察されたこの傾向は、はるかに広範な世界的傾向を反映している。1990年から2023年の間に、世界の平均寿命は64.6年から73.8年に延びた一方、健康寿命は55.9年から63.1年に延びた。しかし、総寿命の伸びの方が速かったため、世界的な罹患ギャップは8.8年から10.7年に拡大した。

この研究は、多くの人がより長く健康を維持するのではなく、慢性疾患と向き合いながら過ごす年数を増やしていることを示唆している。

また、研究者らは根強い男女間の格差も確認した。シンガポールでは、女性の平均寿命は87.5歳と男性の83.1歳を上回ったが、健康状態が悪い期間も長かった。女性は病気や障害により推定12.1年間を健康状態の悪い状態で過ごしたのに対し、男性は10.4年間であり、これは「ジェンダー・ヘルス・パラドックス」と呼ばれる世界的傾向を反映している。

「医療制度は、どれだけ多くの死亡を防いだかだけでなく、人々が健康で、移動能力と自立性を保ちながら、より長く生きられるかどうかも基準として評価されるべきです」と、本研究の筆頭著者であり、ワシントン大学IHMEの研究戦略ディレクターを務めるサイモン・ヘイ(Simon Hay)教授は述べた。

主な原因と危険因子

シンガポールの罹患ギャップに最も寄与している疾患は、その多くが致死性ではないものの、身体機能を損なうものだった。これらには、筋骨格系疾患、精神疾患、不慮の事故による傷害、感覚器疾患、心血管疾患などが含まれる。主な5つのリスク要因は、空腹時血糖値の高値、高いBMI、職業上のリスク、収縮期血圧の高値、食事関連リスクであった。

「健康寿命と罹患ギャップを追跡することは、政策立案者がどこにさらなる注意と資源を割くべきかを特定するのに役立ちます」と、同准教授は付け加えた。

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