4月7日、シンガポール南洋理工大学(NTU)は、汚染された水源から油やその他の有機溶剤を容易に吸収できる再利用可能な生分解性スポンジを開発したと発表した。油が海洋に流出した際の有望な処理手段となる。
ヒマワリの花粉で作られたこのスポンジは疎水性で、スポンジに天然脂肪酸がコーティングされているため水を弾くという。
油が流出すれば、浄化することが難しく、海洋生態系に深刻な長期的被害をもたらすことが多い。化学分散剤を使用してオイルを非常に小さな液滴に分解したり、高価でリサイクルできない材料で吸収したりするなどの従来の浄化方法では海へのダメージが悪化する場合もある。
NTUの研究チームはこれまで直径5センチのスポンジを設計してきたが、これらのスポンジをスケールアップすると、海洋への油流出に対応する際の環境に優しい代替手段になるとしている。
スポンジが選択的に油を標的とし、水を吸収しないようにするために、動物や植物の脂肪に一般的に見られる脂肪酸の一種であるステアリン酸の層でスポンジをコーティングしたことで構造の完全性を維持しながら、スポンジの疎水性を実現した。
このスポンジは1グラムあたり9.7~29.3グラムの吸収能力を持っており、これは1グラムあたり8.1〜24.6 グラムの吸収能力を持つ市販のポリプロピレン吸収剤に匹敵する。
研究チームは今後、NGO(非政府組織)や国際的なパートナーと協力して、実際の環境で花粉スポンジを使ったパイロットテストを実施する予定。革新的な花粉由来材料がいつの日か、広く使用されているプラスチックに取って代わり、プラスチック汚染の世界的な問題を抑制するのにも役立つのではないかと期待されている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部