タイのチュラロンコン大学の発表(4月1日)の発表によると、同大学獣医学部(CUVET)は、COVID-19感染者を検出できる探知犬の訓練を行った。6匹の探知犬を訓練したところ、約95%の精度で探知することに成功した。同国では初めての成功で、現在、空港で実施されている体温スクリーニングを補助する役割が期待される。
現在、空港で実施されている体温測定は、発熱症状がみられる感染者を感知することは可能だが、発熱症状のない感染者の感知は不可能だ。探知犬は、こうした無症状感染者を検出するために訓練された。
「犬の嗅覚は人間の50倍。鼻腔が長いラブラドール・レトリバーは特に嗅覚が鋭く、性格も温厚で訓練がしやすいため、6匹のラブラドール・レトリバーを対象に訓練を行った」と、CUVETのケワリ・チャタロン(Kewali Chatdarong)教授は述べた。
同様の試みはフィンランド、ドイツ、フランス、オーストラリアなどでも行われているが、CUVETの試験でも、他の国に匹敵する94.8%の精度で無症状感染者の検出に成功した。
同プロジェクトに参画する感染症獣医師、ソムポーン・テカンガムスワン(Somporn Techangamsuwan)博士は「我々はまずCOVID-19感染者の汗のサンプルを収集。汗はコロナウイルスを含まず、二次感染が生じない事が分かっている。このサンプルを用いて探知犬を訓練したところ、彼らは無症候感染者を嗅ぎ分け、感染者の場合、その横に座るように学習した」と話す。
試験は6カ月にわたって実施された。プロジェクトリーダーであるケワリ教授はこのプロジェクトについて「タイにおける医療用探知犬訓練のプロトタイプ。将来的には、糖尿病、うつ病、マラリア、アルツハイマー病などの他の病気を検出するための訓練も行う予定」と自信を示す。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部