フィリピン工科大学(TIP)の研究者らは5月6日、湖水から得られるクリーンエネルギーによって水中を照らし、同時に汚染された水を浄化することができる電池を開発したと発表した。
フィリピン語のilawmulasalawa(湖からの光)にちなんで〝iLAWA〟と名付けられたこの電池は、缶詰などのリサイクルアルミニウムを利用して開発されたもので、水中に沈めると漁師の行く手を照らし、同時に湖を浄化することができる。この電池は、水に含まれる電解質から得たクリーンエネルギーにより動作し、その化学反応によって農業や住宅からの流出物に由来するリン酸塩を除去することができるという。
ドランドレブ・アール・オー・ジュアニコ (Drandreb Earl O. Juanico) 博士が率いるTIPの研究者チームは、2016年にiLAWAを最初に構想した。TIPチームは、この再生可能エネルギーイノベーションの可能性を見極め、プロトタイプの開発、フィールドテスト、市場検証のために、フィリピン科学技術省 (DOST) から資金援助を受けた。
今回のプロジェクトでは、十分な支援のもとプロトタイプの最適化を図り、セルの体積を90%、質量を73%削減するとともに、出力を89%向上させることができた。TIPチームは、iLAWAが広く普及することで、アルミニウムのリサイクルが促進され、汚染された湖の水質を改善することができると考えている。さらに、湖での魚の死滅を最小限に抑え、湖周辺の町の漁師の生活を向上させることにも貢献することができる。DOSTは iLAWAについて、「耐久性と費用対効果に優れた革新的な技術を開発することで、フィリピンの漁師の生活を向上させようとするTIPの取り組みはであり、TIPの技術がクリーンなエネルギーを生み出すだけでなく、湖の環境を改善することにもつながります」としている。
iLAWAをテストする関係者 写真提供:フィリピン科学技術省