2021年06月
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シンガポール国立大学とシェルが、脱炭素技術の協力で合意

シンガポール国立大学(NUS)とシェルが5月14日、シンガポール国立研究財団(NRF)の出資のもと、脱炭素技術開発で協力すると発表した。

写真提供:シンガポール国立大学(NUS)

NUSの研究者とエネルギー大手のシェルが共同し、工業プロセスの副産物である二酸化炭素(CO2)から燃料や化学製品を製造する新しい技術の開発に着手する。この研究プロジェクトを率いるのは、NUS化学科のジェイソン・イヨ・ブーン(Jason Yeo Boon)準教授だ。研究費用としてNRFが4.6億シンガポールドル (約370億円)を出資し、プロジェクト期間は3年の予定。

この研究は、電気化学的にCO2からエタノールおよびn-プロパノールを生産するための新技術を開発することが目的。エタノールやn-プロパノールをガソリンに混合することでよりクリーンな燃料を提供できるほか、この2つの燃料を脱水し、医療機器や家庭用品に使用されるポリマーの生産過程において重要な分子であるエチレンとプロピレンを生成できる。

CO2から電気化学的に燃料や化学製品を製造して大気中のCO2を削減するのは魅力的な手法だが、既存の方法では目指す化学製品を商業規模で生産することができなかった。ブーン教授とシェルは、エタノールやn-プロパノールといった液体燃料の商業規模での生産を可能にする、新規触媒の発見を目指す。

NRFのロー・テック・セン(Low Teck Seng)教授は「大学と企業の提携によって、気候変動に取り組むための革新的なソリューションの開発に拍車がかかると信じています」とこの研究に期待をかける。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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