新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが世界を荒廃させ、世界経済に影響を与え、人々の生活を変えてから1年以上が経過した。2020年3月以降、フィリピン科学技術省(DOST)の先端科学技術研究所(DOST-ASTI)が保有するスーパーコンピュータ施設「COARE(Computing and Archiving Research Environment)」は、ウイルスに関する知見の発展に貢献している。
フィリピンでは、COVID-19により2万人以上の命が奪われ、総患者数は100万人を超えてなお増加しており、この凶悪な感染症との戦いに向けた取り組みを強化する必要がある。
DOST-ASTIは、COAREのリソースを継続的に活用することで、多くの研究機関の高性能計算やデータストレージのニーズに応えただけでなく、COVID-19の解明に向けての国を挙げての取り組みを後押しした。COAREが、パンデミック発生から現在に至るまで、政府や研究機関のCOVID-19を中心とした活動に対して貢献した実例を2つ紹介する。
FASSSTERは、政府機関や地方自治体、省庁間タスクフォースが国内のCOVID-19事例に対処するための介入やプログラムの実施など、リアルタイムの意思決定プロセスを支援するパンデミック・インテリジェンス・モニタリング・プラットフォームである。2020年3月以降、COAREはFASSSTERに対し、仮想クラウドサービスへのアクセスを提供し、数学モデルやデータウェアハウスのニーズに応えた。
COAREは、地域に取り残された個人、海外から帰国したフィリピン人、居住地外許可者、緊急旅行者の旅行を管理するオンラインシステムであるS-PaSSに対して、大容量のストレージとコンピューティング・リソースを提供した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部