タイのチュラロンコン記念病院で6月14日、新型コロナウイルス感染症のワクチン候補「ChulaCov19」の第1相臨床試験(治験)が始まった。
ChulaCov19は、チュラロンコン大学医学部、チュラワクチン研究センター(CVRC)の研究チームと米ペンシルベニア大学のドリュー・ワイスマン(Drew Weissman)教授らとの協力で開発された。研究者らはコロナウイルスのメッセンジャーRNA(mRNA)の小さな粒子を使用し、ウイルスタンパク質を作って宿主細胞に入り、ウイルスと戦う免疫を構築するように細胞に指示する。このmRNAが数日以内に体内でタンパク質を発達させた後、mRNAは崩壊し、体内に蓄積を残さない仕組みという。
CVRCはこれまで、サルとマウスでの前臨床試験に成功し、ウイルスが血流に入るのを防ぎ、免疫レベルを大幅に高めることが分かった。6月14日の第1相治験には72人が参加して実施された。問題がなければ、8月初旬頃に150~300人が参加して第2相が実施される予定。
発表によると、ChulaCov19ワクチンは2〜8℃の冷蔵で3カ月間、25℃の室温で2週間保存することができる。ウイルスが培養されるのを待つ必要がないため、mRNAタイプのワクチンは非常に迅速な製造が期待される。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部