シンガポール政府代表団は6月17日、第11回科学技術・イノベーションに関する東南アジア諸国連合(ASEAN)非公式閣僚会議に出席した。会議では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック対策に向けたシンガポール主導の提案が承認され、加盟国の研究協力体制をさらに強化した。
シンガポール貿易産業相のアルビン・タン(Alvin Tan)氏と同国科学技術研究庁副長官(研究担当)アンディ・ホー(Andy Hor)氏らによるシンガポール政府代表団は、第79回科学技術・イノベーションに関するASEAN委員会(COSTI-79)とその関連会議にも出席した。
今回、これらの会議では2件のCOVID-19研究協力提案が正式に承認された。両提案はシンガポールがCOSTI議長国であった2020年10月に、COVID-19に関するASEAN COSTIフォーラムの成果から生まれたものである。このフォーラムでは加盟国がパンデミックへの対応に関する各国の経験を共有し、科学技術における地域協力のアイデアを出し合った。
会議では、シンガポールとマレーシアが主導するゲノムデータの解析に関する提案も承認された。このプロジェクトはシンガポールバイオ情報研究所、同国科学技術研究庁感染症研究所とマレーシア国立バイオテクノロジー研究所が共同で進めている。ASEAN各国で収集・解析されたCOVID-19のゲノムをリアルタイムで解析することで、変異体の発生を検知することを目指す。
シンガポール、マレーシアの両国は今後、全加盟国がゲノムデータの解析を活用できるよう、解析方法やGISAIDプラットフォーム利用のための専門知識を共有するワークショップの開催も検討する。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部