2021年08月
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ロボットに人間の感覚に近い「皮膚」、超高感度圧力センサーで可能に シンガポール

シンガポールの南洋理工大学(Nanyang Technological University: NTU)は6月17日、紙やプラスチックフィルムなどの柔軟な素材に印刷可能で、既存のセンサーよりも100倍感度の高い圧力センサーを開発したことを発表した。

写真提供:シンガポールの南洋理工大学

NTUの電気電子工学部のリオン・ウェイ・リン (Leong Wei Lin) 助教授をはじめ、研究員チェン・シュアイ(Chen Shuai)博士、博士課程学生のスレンドラン・アビジス(Surendran Abhijith)氏とウー・シウ(Wu Xihu)氏からなる研究チームは、シンガポールのナショナルロボティクスプログラム(National Robotics Programme)からの助成金を受けて、超高感度な圧力センサーを開発した。

この圧力センサーの実用的プロトタイプは、卵などの繊細な物体をつかむことができるロボットハンドに装着される。センサーは、大きくて柔軟な素材に印刷でき、自律型ロボットの「皮膚」として使用することで、リアルタイムのフィードバックと接触感知を行うことが可能となる。この「皮膚」で覆われたロボットハンドは、人間と同じように刺激に反応するため、群衆の中に配置される際に、より安全で応答性もより高くなる。

こうしたセンサーは、有機電気化学トランジスタ(organic electrochemical transistors: OECT)と呼ばれるトランジスタの飛躍的進歩により開発が可能となった。従来のOECTには液体電解質が含まれているが、NTUの研究チームのセンサーは、その代わりに固体高分子電解質を使用して、液体ベースのOECTと同等に効果的にイオンや電子を伝導することで、課題を克服した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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