2021年08月
トップ  > ASEAN科学技術ニュース> 2021年08月

ニッケル使用の鉄道レール開発を支援 インドネシア科学院

インドネシアのポータルサイトPortal Informasi Indonesiaは6月23日、政府の進める鉄道開発計画において、インドネシア科学院(LIPI)の女性研究者らが、ニッケルを使用したレールの開発を支援していると報じた。

近年、インドネシアでは鉄道輸送の必要性が増している。国民は人や貨物の移動のために、バスやトラックより速い鉄道輸送を選択している。こうした状況を受け、インドネシア政府は、ジャワ、スマトラ、スラウェシ、カリマンタンの各島において、鉄道車両の増加と鉄道網の拡張を決定した。この鉄道事業の開発において、LIPIの冶金・材料工学研究センター(P2MM)の研究者が、積極的に関わっている。

P2MM所属のファタヤルカドリ・シトラワティ(Fatayalkadri Citrawati)氏は、スラウェシ島のモロワリ県で見つかったニッケルを含むイルメナイト鉱物を役立てたいと考える女性研究員である。政府の鉄道開発の方針を知ると、彼女は率先してインドネシア鉄道会社(PTKAI)代表との会談を行い、彼女自身の研究テーマでニッケル合金によるレールの製造に焦点を当てた。PTKAIが使用するレールは、時速120キロ/時に耐えるパーライトレールだ。ファタヤルカドリ氏らの研究チームは、ニッケルレールの強度を最大化するため、継続した研究開発を進めている。

ファタヤルカドリ氏は今後の研究開発について、「LIPIは製造したレールが国際標準に適合するかどうかを調べる適切な施設がないため、鉄道会社と共同して開発していく必要がある」とし、レールの強度を要する分岐部を製造するためには、「開発を進める時機と予算が重要だ」と話している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る