2021年08月
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コロナウイルスの「スパイク」特性、ラボで開発したものと一致 シンガポールなどが研究

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイク(突起)の重要な特性が、各国の研究室(ラボ)でSARS-CoV-2に模倣して開発されたスパイクタンパク質とほぼ一致しているとする新たな国際研究が7月4日、発表された。シンガポールや英国などの国際チームによるもので、研究成果は科学誌 Biochemistryに掲載された。

SARS-CoV-2から人々を守るための血清学的試験とワクチンを設計するうえで、カギとなる要素は、模倣のスパイクタンパク質を人工的に製造することである。これらの遺伝子組み換えスパイクは、SARS-CoV-2の表面から突き出ているスパイクとそっくりに似せて作られ、体の免疫システムを反応させる引き金となる。また血清学的検査(抗体検査)にも使われ、検査試薬となる。この研究結果によると、各国の研究室で異なる方法によって製造されたスパイクタンパク質は非常に類似しており、研究室間の差異は最小限で、厳密に作成されたことを示した。

SARS-CoV-2ウイルスはグリカン(糖鎖)で覆われていて、グリカンは人の免疫システムからウイルスを隠すことに使われる。大量のグリカンは異なる遺伝子組み換えスパイクを使用する研究室間に重大な相違をもたらす可能性がある。

研究チームは2020年4月、SARS-CoV-2ウイルスのスパイクを覆うグリカンを初めて測量した。現在は4つの異なる研究室で開発された遺伝子組み換えスパイクを分析している。全てのスパイクタンパク質は、中国の清華大学で分析された、不活性化されたウイルス粒子の糖鎖付加の主要な特徴と、よく似ていることが分かった。

さらに計算的方法を用いて、全てのサンプルに見られる糖鎖付加の特徴を作るタンパク質の性質を調査した。この調査についてシンガポール科学技術研究庁(A*STAR)バイオ情報研究所の主任研究員、ピーター・ボンド(Peter Bond)博士は、「私達のモデリングはタンパク質がグリカンの構造にどのような影響を与えるかと、なぜ糖鎖付加が一致しているのかを明らかにした。この予測的アプローチは、新しい変異種や他のウイルスに対する治療法を開発するのにも役立つ可能性がある」と期待を表明した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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