ベトナム政府の「2030年までの国家技術革新プログラム」の概要が8月17日、ベトナム科学技術省のホームページに発表された。プログラムの期間は2021~2030年までで、プログラムは2021年1月25日付で、ブー・ドク・ダム(Vu Duc DAM) 副首相が署名した。この中で「企業中心のイノベーションと創造性の精神を持って国の科学技術プログラムを再構築するタスクを実行する」とのビジョンを掲げた。ベトナム語で発表されたプログラムのポイントを以下の通り紹介する。
ベトナム政府の取り組み
- 企業の革新技術を支援する。
- 社会経済的条件が困難な農村部、山岳部、地理的地域における農業技術移転を促進する。
- 科学技術人材育成を支援する。
プログラムの具体的な目標
- 高品質の製品と付加価値を生み出すために、企業が技術を移転、革新、完成させることを支援する。農村・山間部や社会経済的に厳しい状況にある地域の農業開発のための技術移転を促進し、技術移転・革新・改良のための科学技術人材の育成を強化する。
- 技術革新を実施する企業の数を2025年までに15%/年、2030年までに20%/年、それぞれ増加させる。企業内に研究開発組織を形成する。バリューチェーン(価値の連鎖)の中で高度な技術を保有、または創造する必須製品を生産するセクターを2025年までに3カ所から5カ所へ、2030年までに8カ所から10カ所へ発展させる。
- 5,000~10,000人のエンジニア、技術者、管理者を対象に、技術の管理と運営に関するトレーニングを行う。各経済地域において、その地域の条件に適した技術移転の典型的な研究・応用モデルを少なくとも2つ形成し、その再現を図る。
プログラムを実施するためのタスク
- 国家技術マップと主要製造分野の技術革新ロードマップを作成し、研究し、技術革新活動を促進するためのメカニズムと政策を完成させ、企業における研究開発組織の形成を促進することにより、国家技術能力向上ロードマップの開発と実施を促進する。
- 企業が高価値製品を生産するための高度な技術を研究し、応用し、習得することを支援することに重点を置き、製造業におけるスマートな生産の方向に企業の管理、生産、ビジネスモデルを適用するための活動を行い、企業と機関、組織、個人との協力活動を展開する。
- 中小企業の支援、技術の獲得、技術移転による技術の向上、企業へのキャパシティビルディング研修、技術に関するデータベースの活用。
- ポストハーベスト技術や農産物加工における革新的な農業モデルを拡大するために、農村部や山岳部、社会経済的に困難な状況にある地域での技術移転に投資する企業を支援する。伝統的な商売や村の強みを維持・発展させるためのサービスにおける技術革新、投資優遇措置の対象となる産業、技術移転を受けるための投資優遇措置に適した地域でのプロジェクトを策定・実施する。
- 調査・評価、データベースの構築・更新、ネットワークのコンサルティングなど、技術革新の発展を支援し、技術の応用・移転・革新に関するコミュニケーション活動を組織し、技術革新に功績のあった組織や個人を表彰する。
プログラム実施のソリューション
- 技術革新活動を促進し、企業の技術研究開発活動を奨励するための法的制度を完成させる。技術革新の実施状況や企業の競争力を評価するための基準制度を整備する。
- 先進国の新技術・先端技術の移転を促進するための国際協力を推進し、ベトナム企業がグローバルなバリューチェーンに参加することを支援する。国際協力の形態や内容を奨励、拡大、多様化し、国や地域との科学技術協力を促進し、海外の技術・設備展示会に参加する企業を支援する。
- プログラム実施のための財源強化:技術革新活動のための投資資金源の多様化、企業の科学技術開発基金設立の奨励、技術革新活動への投資のための社会資源の誘致強化。科学技術活動における官民連携メカニズムなどの実施を強化し、公的な科学技術機関と企業の技術研究の連携・協力を図る。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部