2021年08月
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高地での森林伐採で温室効果ガス排出が加速 東南アジア

英国リーズ大学(University of Leeds)の研究者らは6月28日、東南アジアの高地で進む森林伐採が、これまでにない大規模での温室効果ガス排出につながっていると発表した。

ベトナムの森(写真提供:moitruong.com.vn)

英国リーズ大学と中国の南方科技大学(SUSTech)の研究者らによると、東南アジアでは農業生産量増加のため、より高い標高、急斜面での森林伐採が進んでいる。その結果、年間4億トン以上の炭素が大気中に排出されており、その量は近年増加している。この研究は、南方科技大学の曾振中准教授が率い、中国国家自然科学基金(NSFC)および南方科技大学がサポートして、リーズ大学との共同で行われた。論文は Nature Sustainability に掲載された。

熱帯林は生物の多様性に富み大量の炭素を貯蔵する。全世界の熱帯山林のうち約半数が東南アジアに存在する。同地域では平地での熱帯林の伐採が進んでいたが、近年まで山林の伐採は免れていた。しかし、今世紀に入ってから、伐採が急激に山地に移動している。高解像度の衛星データを使った解析によると、2001年から2019年の間に、東南アジアでは年間322万ヘクタールの森林が消失し、その31%は山地であった。2000年代は、インドネシアなどの平地での森林伐採による炭素損失が顕著であった。2010年代に入ると平地での炭素損失が減少する代わりに、ミャンマーやラオスの山地で損失が著しく増加した。高地の森林は、平地に比べて森林炭素の蓄積密度が高いことが分かっている。

論文の共著者であるリーズ大学のジョセフ・ホールデン(Joseph Holden)教授は、「山林は生物の多様性、将来的な気候変化や水資源に重大な影響を与える」とし、東南アジアの高地には環境の変化に敏感な生物が存在し、炭素の貯蔵量が多いことを指摘し、「この地域での森林消失は非常に懸念されることだ」と結んだ。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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