フィリピン科学技術省(DOST) は7月27日、科学技術によって持続可能な水資源を確実にすることをテーマとしたフォーラムを開催した。フォルチュナト・デラペニャ(Fortunato T. de la Peña) 科学技術相は、水資源管理について官民パートナーシップによる研究開発プログラムの重要優先事項の一つとすると強調した。
水は豊富な資源だと簡単に考えられがちだが、世界自然保護資金(WWF)によると、人々の使用・消費に適した淡水は、世界の水のたったの3%である。フィリピンでは僻地に住む人など約12%の世帯が安全な水の供給を受けられていない。
フォーラムでデラペニャ科学技術相は同省の施策について「我々は水資源の管理を改善するために技術とシステムの発展と応用に取り組んできた」と話した。具体的には、気候レジリエント構想(Climate Resilient Initiative)は、気候変動への対応と災害リスク削減のための、計画とインフラストラクチャに関する科学的情報を提供する。DOST地域局は、地方の政府機関と協力して問題に取り組んでいる。電力網が届いていない地域でのソーラー電源ポンプの採用や、下水の汚染物質を取り除きリサイクルすることや、複雑な水供給システムを予測するモデルの実験も行っている。
また、マニラ湾の水質を監視する統合システムは、水質改善の取り組みの一つである。ラグナ湖では、水産養殖部門の水質改善のために、研究者達が有機化合物重金属を測定する方法を追求している。ボラカイでは、観光島における水質評価のための科学的ガイドラインが開発された。
オンライン開催となったフォーラム(写真提供:DOST)
DOSTは、作物・動物・水産業における生産を改善するための水技術の開発に焦点をあてた研究開発プロジェクトも支援している。また科学的政策と決定を考慮することが必要な、集水域管理と気候変動に関連した数多くのプロジェクトの援助も行っている。
デラペニャ科学技術相は「適切な政策、システムと技術によって、フィリピン国民のため持続可能な水管理と衛生を確保していきたい」と結んだ。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部