インドネシア政府は、デジタルテレビ放送普及の格差を是正するため、国境地域を優先してデジタルテレビ開発プログラムを実施する。
インドネシア通信情報省のゲリャンティカ・クルニア(Geryantika Kurnia)放送局長は「ASOフェーズ1における国境地域の重要性」をテーマにしたセミナーで、「アナログスイッチオフ(ASO)、すなわちアナログテレビ放送の停止に向けてすべての準備が整った」と述べた。
アナログテレビ放送からデジタルテレビ放送への移行の第一段階は8月17日までに実施。切り替えは、国境地域から開始される。これはジョコ・ウィドド(Joko Widodo)インドネシア大統領の指示により方針で、インドネシアの主権を維持するための戦略の一つである。国境地域でもインドネシアの他の地域と同じテレビ番組が見られるようになれば、一体感や国民性が高まり、地方の放送機関も国境や辺境の地で成長すると政府は期待する。
ゲリャンティカ放送局長によると、今回のプログラムによって大きな利益を得るのは、国境付近の人々だけではない。2017年に通信情報省がデジタルテレビ放送への移行による影響を試算したところ、新たな事業活動が18万1,000件、新たな雇用が23万2,000件増加する。このほか、税外の国家収入が77兆ルピア(約6000億円)、国内総生産(GDP)が433.8兆ルピアそれぞれ増えるという。
インドネシアの国土は、何千もの島々によって構成されているため、独自の課題を抱えている。少なくとも32%の地域では、いまだにテレビ放送の電波が届いていない。このデジタル移行によって、大都市の人々が受け取る情報を国境地域の人々も受け取ることができるようになることが見込まれる。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部