インド工業連盟年次総会で8月11日、シンガポールのヘン・スイキャット(Heng Swee Keat)副首相が以下のようにスピーチした。
今年のテーマ「India@75: 政府と産業界が自立したインド("Atmanirbhar Bharat")のために協力する」は、全ての国内企業とコミュニティが最大限に連携してさらに強く団結したインドをつくる、非常に重要な取り組みである。コロナ禍で世界中が混乱する中、自国と世界の進展のために、インドは海を越えたパートナーと協力していかなければならない。そのためには3つの重要なポイントがある。
第1に、インドとシンガポールの、200年以上におよぶ長く豊かな関係の歴史である。1994年、当時の首相がインド共和国記念日の祝典に企業代表団と訪れたことは、シンガポールにおける「インドフィーバー」のきっかけとなり、両国の密接な協力関係の第一歩となった。
2005年のインド・シンガポール包括的経済協力協定(CECA)締結によって、双方の自由貿易協定は最高潮に達した。二国間貿易は成長して、両国の互いに対する投資は増加し、常に互いの優先事項のための新しい議題を改善している。
2つ目として、フィンテック(金融とITの融合)やサステナビリティ(持続可能性)といった新しい分野における機会のために両国が連携することに、大きな可能性がある。世界中で経済成長を牽引しているデジタル化は、インドが飛躍することを可能にし、人々の生活をすでに大きく変えている。2018年の首相間会議のあとに、フィンテックに関する合同作業グループが設立された。両国間のデジタル領域の連結を促進し、データ・サービス・支払いの滞りのないやり取りを推進する。
インドは2030年までに二酸化炭素(CO2)の排出を3分の1に削減し、新しい国家水素ミッションを設立することに取り組んでいる。低炭素経済を推進するこの取り組みは新しいコラボレーションを生み、シンガポール企業は、農業などの分野で投資を行っている。
最後に、インドの大きな可能性を開花させるコラボレーションの重要な点は、変革と新しい投資を誘致することを通して、コロナ後のグローバリゼーションの波に乗ることである。グローバルサプライチェーン(国際的な供給網)の多様化に貢献し、より強い回復力を作る。東南アジア諸国連合(ASEAN)・インド自由貿易協定は、お互いの共通の利益に貢献し続けている。インドがデジタル化を強化することは、中流層と人口が増加し、デジタル化も進むASEAN諸国にとっても重要なことである。次期ASEANインドコーディネーター国として、シンガポールはこの重要なパートナーシップを前進させるために、ASEAN諸国と密接に協力することを楽しみにしている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部