シンガポールの新興企業であるBreathonixが開発した新しい呼気分析器を使えば、新型コロナウイルス（SARS-CoV-2）はマウスピースに息を吹き込むだけで迅速かつ簡便に検出できる。

AsianScientist － シンガポールは、SARS-CoV-2を1分以内に検出できる呼気分析検査を暫定承認した。この検査方法はシンガポール国立大学 (NUS) からスピンオフした Breathonix社によって開発された。

新型コロナウイルス感染症（COVID-19）のパンデミックが蔓延してからほぼ2年が経過したが、この間、SARS-CoV-2を検出するさまざまな診断方法が開発された。ゴールドスタンダードは患者の検体中にあるSARS-CoV-2の遺伝物質を拾い上げて増幅するPCR検査であり、それに変わりはない。

PCR検査の精度は高いが、いくつかの注意点がある。たとえば、検査結果が判明するまでに1日以上かかる場合があり、しかも専門の機器と訓練を受けた技術者も必要とすることだ。それ以外には、約15分でウイルス抗体を検出する迅速抗体検査もあるが、抗体検査は迅速であっても精度が低くなる。

しかし、迅速性と精度が相殺する必要はない。Breathonixが証明するように、迅速かつ精度の高い診断を行うことは完全に可能である。BreFence^TMGoCOVID-19呼気検査システムと呼ばれる検査がそれである。

このシステムで、ユーザーは呼気サンプリング機器に取り付けられた使い捨てマウスピースに息を吹き込む。これは、血中アルコール濃度を検出するために従来使用されていた呼気分析器と同じようなものである。その後、呼気は、COVID-19感染に特異的な有機化合物を検出する質量分析計に送られる。そしてソフトウェア・アルゴリズムが化学的特徴を評価し、1分以内に結果が出る。

信じられないかもしれないが、2020年に主にシンガポールで実施された臨床試験で、呼気検査は90％以上の精度を達成した。結果の最終確認にPCR検査が必要であることに変わりはないが、呼気分析器はかなり使いやすく、かさばって高価な機器を必要としないことは注目に値する。

このシステムはシンガポールの健康科学庁によって承認された。Breathonix社は現在、COVID-19抗原迅速検査が義務となっているマレーシアと国境を接する地点で、展開試験を実施しようと保健省と協働している。

「私たちの呼気検査は管理が簡単で、特別な訓練を受けたスタッフや分析機関での処理は必要ありません。結果はリアルタイムで生成されるため、特に人の往来が多い地域では大量にスクリーニングできる魅力的なソリューションになります。私たちの呼気分析プラットフォームは、このパンデミックの流れを変える可能性があると信じている」とBreathonix社のジア・ズナン (Jia Zhunan) CEO博士は普及に自信を見せた。