タイ国立遺伝子生命工学研究センターは、ELISAベースの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査キット「COVYD-19」の開発に成功した。8月30日に発表された。
COVYD-19は、遺伝子生命工学研究センターのウイルス学・細胞工学研究チームとモノクローナル抗体生産・応用研究チームが共同開発した。ウイルス学・細胞工学研究チームのリーダーであるピーラ・ジャルアムポルンパン(Peera Jaruampornpan)博士によると、今回開発された検査法は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の受容体結合ドメインに焦点を当てたという。
この検査法は、タイ陸軍医科学研究所との共同により、血清サンプルを用いて評価され、世界保健機関(WHO)の標準物質で検証された。その結果、輸入された検査と同等の感度と特異性が得られた。
検査結果を読み取るためには科学的な機器が必要となるため、COVYD-19は家庭では使用できない。本検査は、多数の検体でSARS-CoV-2抗体価の研究やワクチンの開発を支援するために設計されている。
現在、タイのタマサート大学医学部が実施している集団研究では、医療スタッフから入手した1,000サンプルのSARS-CoV-2抗体レベルを測定するために、この検査が使用されている。タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)は、国民の免疫力に関する情報は適切なワクチンや公衆衛生管理計画の策定に不可欠であるとしている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部