2021年10月
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タマリンドの殻をエネルギー貯蔵に変える NTU研究者ら報告

タマリンドの殻は、エネルギー貯蔵装置で使用されるカーボンナノシートに変換することができる。もはやごみ箱に捨てられることはない。

AsianScientist - タマリンドの果実はすでに消費者にとって甘いエネルギー源となっているが、その殻はエネルギー貯蔵装置の製造に有望な素材であることが分かった。国際研究チームが科学誌 Chemosphere でタマリンドの殻をカーボンナノシートに変換したことを報告した。

廃棄物は食料生産の流れに沿って急速に蓄積し、環境的・経済的脅威をもたらしている。しかしさまざまな産業分野がこの廃棄物の排出量を削減し、世界中で増大するごみ処理の問題を軽減する方法を模索している。ちりも積もれば山となる。

たとえば、タマリンドは世界中の消費者に人気がある果実だが、殻の価値はほとんど知られておらず、通常は農業廃棄物として廃棄される。しかし、タマリンドの殻はかさばり、埋め立て地ではかなりのスペースを占めてしまう。

シンガポールの南洋理工大学 (NTU)、インドのアラガッパ大学、ノルウェーの西ノルウェー応用科学大学の研究者らは、殻には豊富な炭素堆積物があり、それを利用してナノシートと呼ばれる極薄の材料を製造できることに気づき、タマリンドのゴミを宝物に変えようとした。

バッテリーがエネルギー貯蔵として機能するのと同じように、カーボンナノシートはその多孔質構造が電荷を運ぶ大きな表面積を生み出すため、エネルギー貯蔵に最適な素材である。そのため、カーボンナノシート装置は、電気自動車やハイブリッド列車を充電させるだけでなく、ノート型パソコンなどの家電製品の寿命を延ばすためにも使用できる。

研究者らはタマリンドの殻を乾燥させ、その後粉末に粉砕して、廃棄物をナノシートに必要な炭素成分に変換した。高熱により引き起こされた一連の化学反応によって粉末は堆積して相互接続する六角形の細かい層を作り、電荷を蓄積する多孔質の蜂の巣状の構造が出来上がった。

タマリンドから作られたナノシートは、工業生産されたナノシートと構造的に似ているだけでなく、素材を通る電流など同様の電気的特性も持っている。また、タマリンドの殻を乾燥するのに必要な時間はわずか6時間である。これは、ナノシートの製造に通常使用される麻繊維に必要な加熱時間の4分の1である。

これらの有望な結果から、チームは、このバイオマス由来のナノシートの生産を拡大すれば持続可能性に向かっての進歩となると期待している。食品廃棄物の削減になるだけでなく、現在の工業生産方法に代わり、環境に優しい代替品にもなるかもしれない。

「タマリンドの殻から作られたナノシートの性能は、工業生産されたものと同等であることが分かりました」と責任著者でNTU助教授のクオン・ダン (Cuong Dang) 博士は成果を強調した。