2021年10月
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ジャノメチョウ、捕食者を引き付けるその模様 シンガポールで研究

ジャノメチョウのその模様は、自らの破滅を招く。前翅(ぜんし:前ばね)に眼状紋が多いほど捕食者の攻撃(predatory attacks)が増えることが証明された。

AsianScientist - 過ぎたるは及ばずと言うが、何でも多すぎると悪い結果を招くことがある。ジャノメチョウの場合、前翅に多くの眼状紋を持つと、捕食者に気づかせるネオンサインを点滅させるようなものである。シンガポール国立大学 (NUS) の研究者らは、英国王立協会紀要 (Proceedings of the Royal Society B) にその調査結果を発表した。

チョウの翅はまばゆいばかりに美しい。チョウの多くの種が眼状紋と呼ばれる輪を持っており、これは捕食から身を守るためにあると考えられている。しかし、色が目立つため、実際にはこれらの輪によって簡単に捕食者の目に留まる。

とはいえ、輪の保護機能は、翅の中でも戦略的な位置に置かれていることにある。多くの場合、眼状紋は翅の縁、または後翅に見られる。これらの場所は体の中でもあまり重要ではないと考えられている。捕食者がこれらの部分を攻撃し、つかんでも、蝶はあまり大きなダメージを受けることなく逃げることができる。

通常、ジャノメチョウ (Bicyclus anynana) の前翅の眼状紋の数は後翅の半分ほどのであるが、NUSの科学者たちは、この数の違いが捕食に影響を与えるかどうかを調査した。前翅に多くの眼状紋を持つジャノメチョウの場合、受ける攻撃回数が多く、個体数の急激な減少につながった。

チームは一連の実験でカマキリを解き放った後、前翅に2つの眼状紋を持つジャノメチョウと4つの眼状紋を持つジャノメチョウが受けた損傷の程度を比較した。どちらのグループも後翅の損傷があったが、眼状紋を多く持つグループは捕食の標的になりやすく、前翅にも損傷があった。

捕食者を回避する機敏な動きには前翅が特に重要であるため、この部分が攻撃されるとジャノメチョウの飛翔は特に悲惨なことになることが分かった。研究者によると、ジャノメチョウは通常、後翅に損傷があっても何とか対処することができるが、前翅に損傷があるとその後の攻撃に対してより脆弱になり、致命的な打撃を受けることになる。

チームは、4つの眼状紋を持つジャノメチョウは寿命が短いことから、産卵する時間も短いことを発見した。この発見は、ジャノメチョウの進化と共に前翅の眼状紋が少なくなった理由に関する説を支持するものかもしれない。多くの眼状紋を持つジャノメチョウは、同じ模様を持つ子孫を生み出す前に、その早すぎる死を迎える可能性がある。

特に他のチョウの種では反対の傾向を見せ、後翅よりも前翅の方が多くの眼状紋を持っているので、眼状紋の数の多様性は目を楽しませるばかりでなく、依然として興味深い研究対象である。研究者にとって、捕食者と被食者の関係が見られる社会全体を調査することは、なぜ、どのように翅の模様が出来上がったのかを理解する鍵となろう。

「私たちの調査結果はジャノメチョウの翅にある眼状紋の位置が捕食者の行動にどのように影響し、影響を受けるかを示すものであり、動物が互いに意思疎通する方法の背後にある複雑性を明らかにしています」とNUSの責任著者であるアントニア・モンテイロ (Antonia Monteiro) 教授は説明した。