2021年10月
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ボルネオ島で100年ぶりに新属新種のカラスガイ発見 国際チーム

英ノッティンガム大学地理学部のアレクサンドラ・ツィーリツ(Alexandra Zieritz)博士の率いる国際研究チームがボルネオ島(インドネシア・マレーシア・ブルネイの3カ国にまたがる)で、およそ100年ぶりとなる新属新種(1属2種)のカラスガイを発見した。9月7日付の発表。研究成果は国際学術誌 Aquatic Conservation: Marine and Freshwater Ecosystem に掲載された。

発見された新属新種のカラスガイ(写真提供:ノッティンガム大学)

研究チームは、イギリス、マレーシア、インドネシア、ブルネイ、アメリカ、ポルトガルの研究者らで構成。今回のカラスガイ2種は、ボルネオ島のサバ・サラワクの両州(マレーシア領)の小さな川で見つけられた。この新種のカラスガイは、これまでの種とは全く異なることから新属として分類し、それぞれKhairuloconcha sahanaeとKhairuloconcha lunbawangorumと命名した。

ボルネオ島でこれまでに発見されたカラスガイは18種あり、その多くは1840年から1903年にかけて記載された。最後に記載された種は、94年前(1927年)に命名されたCtenodesma scheibeneriである。今回発見された新種の2種を含む20種のカラスガイのうち15種がボルネオ島の固有種となる。

論文の筆頭著者であるツィーリツ博士は「私たちが見つけた2種のカラスガイは、それぞれサバ州とサラワク州のある場所にしか生息していない希少種だ」と話す。しかし、生息地の環境破壊が進んでおり、その生態が脅かされているといい、大規模農業のための土地の変更や森林破壊によって、今後カラスガイの個体数が減少するのではないかと危惧する。

専門家らは、大規模な土地開発が進むと土壌浸食による表土の流出や農業用肥料による水質汚染が発生し、水環境に生息するカラスガイに直接的、間接的に悪影響を及ぼすと指摘する。他にも、外来生物、気候変動、採鉱、水系変化、排水などの影響が、ボルネオ島のカラスガイの個体数を減少させる潜在的な要因と考えられる。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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