シンガポールの水に関する事業を一元して行う公益事業庁(Public Utilities Board : PUB)は、管轄する国立水道局が国家研究基金(NRF)より水分野向け競争的研究資金(CWR)5,100万シンガポールドル(約41.5億円)を受領したと発表した。9月13日付。競争的研究資金を活用した委託研究が公募される。
CWRプログラムは、国の研究開発強化戦略の一環である「研究・イノベーション・エンタープライズ(RIE)2025年計画」の下で、水に関わる諸問題を解決するための技術開発を支援する。
シンガポールの水の需要は年々増加しており、2060年までに現在の倍になると予測されている。将来にわたって安全かつ持続可能な水の供給を得るには継続的な研究開発(R&D)が必要とされている。現在、シンガポール国内で重要とされる水分野の研究課題は、
などがある。
PUBの最高技術責任者を務めるパン・チー・メン(Pang Chee Meng)は、競争的研究資金を活用した委託研究の公募について、次のように話す。
「PUBは、水の製造や品質、安心安全に関わる研究開発にこれまで投資してきた。近年、気候変動の影響が顕著となり、水資源だけでなく水道システム全体に及ぼす長期的な影響を調査する必要が出てきた。私たちは、復元力に優れた、持続可能な水道システムの構築のために、革新的かつ柔軟なアイデアを持つ研究プロポーサルが出てくることを期待している」
今回のCWRプログラムの公募では、二つの新しい重点分野が加わった。PUBはその最初の研究課題として、「化学物質・有用金属の回収」と「気候変動による水道システムへの影響」に関わる公募を発表した。申請書の受付締め切りは2021年11月26日。PUBがRIEに関わる研究資金を受けるのは今回で4回目となる。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部