2021年10月
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産業用量子技術の共同開発で仏企業とのパートナーシップを締結 シンガポール国立大学

シンガポール国立大学 (NUS) は、フランスのタレス(Thales)社 と商業利用を目的とした量子技術の共同開発とテストを目的とした2年間のパートナーシップを開始するため了解覚書 (MoU) を締結したことを発表した。9月29日付。

了解覚書に調印したNUSとタレス社の代表(写真提供:NUS)

量子物理学を利用し通信や計算などを行う次世代技術 「量子技術」 の開発が世界中で加速している。シンガポールでは、2018年にシンガポール国立研究財団 (NRF) がシンガポール国立大学主催のもと、量子工学プログラム (QEP) を立ち上げ、研究開発を行っている。

量子技術の研究開発に実績のあるタレス社とQEPのパートナーシップにより、産業界および学術界の専門家たちが、学際的な量子セキュリティ技術の試験と評価性能について開発を進めることとなる。また、量子センシングのための新材料や設計の分野でも、共同研究の可能性を模索する。さらに、セミナーや会議などの共同活動を行い、互いの専門知識を共有し、研究成果を発表する予定だ。

NUSの副学長 (研究・技術担当) であるチェン・ツアン (Chen Tsuhan) 教授は今回の提携について「国内外で商業的に魅力のある量子ソリューションのイノベーションと開発が加速され、新しい量子技術を展開するためのテストベッドや踏み台としてのシンガポールの魅力も高まるだろう」 と期待を寄せた。

タレスシンガポールのカントリー・ディレクター兼チーフ・エグゼクティブであるケビン・チョウ (Kevin Chow) 氏は 「今後もシンガポールの研究開発エコシステムと協力して、量子センシングや量子技術を用いた安全な通信のための新素材の利用など、新たなテーマに取り組んでいく」 と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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