2021年10月
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新型コロナ感染予防で圧力調整ヘルメットを開発 タイ国立ナノテクノロジー研究センター

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などで感染性エアロゾルを経由してのウイルス感染を減らし、ヘルスケアワーカーの安全性を高めるために、タイ国立ナノテクノロジー研究センター(NANOTEC)はタイ国立科学技術開発庁(NSTDA)と共同で、「nSPHERE圧力調整ヘルメット」を開発した。9月3日の発表。負圧ヘルメットnSPHERE(−)と正圧ヘルメットnSPHERE(+)の2種類が利用できる。

nSPHERE圧力調整ヘルメット(写真提供:NSTDA)

負圧ヘルメットは、感染した患者に着用される。内部の気圧が外部よりも低く保たれているため、外気が内部に流れ込み外部に漏れず、医療従事者の安全性を確保する。内部の空気はHEPAフィルターで清浄され外部に放出される。対して正圧ヘルメットは医療従事者のために設計され、外気をヘルメット内に流入する前に清浄することが可能である。

nSPHEREは、簡易な組み立て、早い生産、低コストというコンセプトで設計されたと、ナノテク・ナノニードル研究チームのリーダー、パイサン・カンチャイティット(Paisan Khanchaitit)博士は説明する。ヘルメットは、一枚の耐水性のある紙が折りたたまれて作られる。主な特徴は、軽量なことと再利用可能なことである。

すでに900以上のnSPHEREヘルメットが37カ所の病院と施設で使用され始めている。研究チームは生産を増加させるためにライセンスを複数の企業に提供することを計画し、多くの企業がこの技術のライセンスに興味を示している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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