2021年11月
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新型コロナを嗅ぎ分ける室内空気サンプリング監視システム開発 シンガポールNTU

シンガポールの共同研究チームは、空気中に浮遊する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNA(COVID-19の原因となるウイルスをコードする核酸)をエアサンプリングによって室内で検出するシステムを開発した。10月8日に発表した。この研究成果は9月14日、Indoor Air に掲載された。

エアサンプリングによって室内で検出するシステム (写真提供:NTU)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のデルタウイルスは、シンガポールをはじめとする世界各地で急速に拡大しており、環境中のSARS-CoV-2の存在を迅速に確認する必要性が高まっている。排水検査は、下水に含まれるウイルスの存在を確実に示す指標だが、この方法は過去にさかのぼって行われるため、事前に対策を講じることはできない。

シンガポールの南洋理工大学(NTU)のシンガポール環境生命科学エンジニアリングセンターのシュテテファン・シュハスター(Stephen Schhuster)教授は、シンガポール国立大学医学部のデイヴィッド アレン(David Allen)准教授と共同で、空気中に浮遊するSARS-CoV-2 RNAを室内で検出するシステムを開発した。

実際にCOVID-19の患者が入院しているシンガポールの病院の2つの入院病棟で、この新しい空気サンプリング調査を試したところ、従来のサンプリングよりもはるかに高い検出率が得られた。

これらの結果は、COVID-19を早期に検出するための空気中のサーベイランスシステムの可能性を示しており、特に病院や老人ホーム、さらには大勢の人が集まる閉鎖された場所での感染リスクを警告できると南洋理工大学は伝えている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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