2021年11月
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森林火災からコロナまで写真付きで問題を報告 タイのアプリ 、革新賞 で2位に

タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)は携帯アプリのトラフィ・フォンドゥー(Traffy Fondue)が、2021年度タイ革新賞の「社会および環境貢献分野」で2位に入ったと発表した。10月7日付。

トラフィ・フォンドゥーは、自治体に対する苦情の報告や報告事例の管理を行うスマートシティ携帯アプリで、NSTDAの国立電子コンピューター技術研究センター(NECTEC)が開発した。

携帯アプリのトラフィ・フォンドゥー(Traffy Fondue)の画面 (写真提供:NSTDA)

市民はこの携帯アプリを使ってゴミに関する問題、道路の穴、歩道の損傷、信号の故障などの様々な問題を写真付きで市に報告できる。報告された問題は添付された写真およびGPS情報とともに問題の担当部署に送信され、報告者は担当部署による対応状況を確認できる。また、森林火災や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染地域からの人の移動などの切迫した問題もこのアプリを使って報告でき、担当省庁が市民が直面する脅威に対して迅速に対応するためのツールとしても役立つ。

タイ革新賞は、経済貢献、社会・環境への貢献、製品およびサービスデザイン、メディア・コミュニケーション、革新的組織の5分野における革新的な業績や人材を評価するのが狙い。授賞式はタイの「革新の日」である10月5日に、高等教育・科学・研究・イノベーション相のアネーク・ラオタンマタット(Anek Laothamatas)博士の司会で開催され、NSTDAのインテリジェント交通システム研究チームリーダーのワサン・パッタラ-アティコム(Wasan Pattara-atikom)博士がトラフィ・フォンドゥーを代表して賞を受け取った。

トラフィ・フォンドューは、タイの防災災害軽減省および地方行政省に所属する1,772の地方行政機関をリンクしているほか、12の地所、232のビルで問題解決ツールとして採用されている。これまで1万4,033件の問題が報告され、問題解決にかかった時間は平均6.2時間であった。このアプリを使用することにより、行政機関は1事例につき65分の時間と4,245万タイバーツ(約1億4500万円)の経費を節約できると試算されている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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