2021年11月
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脳卒中患者向けリハビリロボットが研究革新賞受賞 シンガポールNTU

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は、脳卒中患者が上肢の運動能力を取り戻すために設計されたポータブルアームリハビリテーションロボットが、同国の国立ヘルスケアグループNational Healthcare Group :NHG)の研究革新賞(Research and Innovation Award)を受賞したことを発表した。10月18日付。

リハビリ用ロボット「H- Man」 (写真提供:NTU)

このロボットはNTUのロボット研究センターが、リハビリテーションセンターの医師や作業療法士などと協力して8年間かけて開発した。臨床試験が成功した後、NTUの企業でありイノベーションカンパニーであるNTUitveがインキュベートしたARTICARESとして実用化された。

H-Manと呼ばれるこのコンパクトなロボットは、14kgで、通常のテーブルの上に置くことができる。また、操作やセットアップも簡単で、セラピストや患者がより充実したリハビリテーションを行うことができる。H-Manは、操作ハンドルと大型のインタラクティブディスプレイで構成されており、脳卒中やその他の神経疾患の患者が、リハビリ用にデザインされた没入型のエクササイズゲームをスクリーン上でプレイすることで、上肢の運動能力の向上を図る。その後、ロボットが患者の改善状態を評価し、セラピストにフィードバックを送る。

ドメニコ・カンポロ(Domenico Campolo)准教授は、「手ごろな価格で持ち運び可能なロボットを開発し、脳卒中後の患者が自宅や地域の環境で、最小限の監視で自分のペースでリハビリ治療を行えるようにすることで、従来の治療法を補完することが可能になる」と期待を示している。このデバイスは今後世界各国で使用される計画がある。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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