シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)は、所管するハイパフォーマンスコンピューティング研究所(IHPC)が大学や政府系機関の支援で運営されるTUMCREATE Ltd(TUMCREATE)と協力して、電気自動車(EV)の充電需要などを検討するための統合シミュレーションモデル(Singapore Integrated Transport Energy Model:SITEM)を開発した。10月20日に発表した。
IHPCとTUMCREATEは、政府のEV政策を支援する研究プロジェクトで連携関係にあり、今回開発したSITEMを用いて、EVの充電パターンやエネルギー需要の解析を行う。この研究プロジェクトは、国内の自動車輸送と電力に関する将来予測を目的とし、同国総理府などから委託されている。
シンガポールは2040年までに、化石燃料を使用したエンジン搭載車(ICE)を段階的に廃止し、すべての車両をEV等のクリーンエネルギー車に置き換えたいとしている。これに伴い、関連する当局はそれぞれ協力し、充電ステーションの導入や公共輸送車両の電動化、住宅向け電力網の強化を図る。
IHPCとTUMCREATEは、SITEMによる緻密なシステム設計やシミュレーションを通して、充電ステーションの最適な配置に関する手がかりを得たいとしている。充電ステーションの設置は一般的に費用がかかるため、実行段階に入れるとやり直しは難しい。そのため、SITEMを用いて事前に検討することは、むだなコストを回避することにつながると考えられる。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部