2021年11月
トップ  > ASEAN科学技術ニュース> 2021年11月

化学薬品の使用量を減らすスマート酵素「ENZease」に、タイ国家イノベーション賞

繊維産業のためのスマート酵素ENZeaseが、社会や環境に貢献する革新的な取り組みに与えられるタイの国家イノベーション賞2021を受賞した。10月5日付。

タイ国家イノベーション庁が主催する国家イノベーション賞は、経済的貢献、社会・環境的貢献、製品・サービスデザイン、メディア・コミュニケーション、革新的組織の5つのカテゴリーにおいて、イノベーションとイノベーターを表彰する賞である。BIOTEC Enzyme Technologyのチームリーダーであるティダラット・ニムチュア(Thidarat Nimchua)博士=写真(右)=は、高等教育・科学・研究・イノベーション大臣であるアネク・ラオタマタス(Anek Laothamatas)博士からトロフィーを授与された。(写真提供:NSTDA)

繊維産業は、化学物質を大量に使用する産業の一つである。特に、脱脂や精練の工程では、過酸化水素や苛性ソーダなどの強酸性や強アルカリ性の化学物質が使用されている。

ENZeaseを開発したのはBIOTEC社、MTEC社、Thanapaisal textile factory 社の3社。ENZeaseは同じpHと温度範囲で機能するアミラーゼ活性とペクチナーゼ活性をもち、バイオデサイジングとバイオサッカリングを1段階で行うことができる。結果としてENZeaseは、化学薬品の消費量を減らし、プロセスのステップを最小限にし、処理時間を短縮することができるため、運用コストとスペースを削減し、大規模な運用をよりシンプルに、よりコスト効率よく、より環境に優しいものとすることが可能だという。

ENZeaseは現在、Asia Star Trade Company Limited社にライセンス供与され、商業生産が行われているほか、伝統的な繊維生産に従事する地域企業や中小企業にも譲渡されている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る