シンガポールのIPIイノベーション・アドバイザーのベニー・ゴー (Benny Goh) 氏は、海外での豊富な経験を活かして、企業が効果的な対外成長戦略を計画し、実行できるよう指導する。
AsianScientist - 顧客基盤の多様化のために、あるいは成長を促進させるために、シンガポールではますます多くの企業が国際化に向けた計画を立てている。
2019年の1年間だけで、シンガポール企業庁は、同国の600の中小企業 (SME) の海外展開プロジェクトを支援した。海外売上高は89億シンガポールドルになると見込まれている。
世界市場は有望であるかもしれないが、乗り出していくすべての企業が成功を収めているわけではない。消費者のニーズの違い、規制のハードル、根強い現地の競争などといった課題があるため、イノベーションを国際的なサクセスストーリーに変えるには、徹底的な市場分析に裏打ちされた一貫した計画が必要である。
この目的のために、IPIイノベーション・アドバイザーであるベニー・ゴー (Benny Goh) 氏は、企業が世界規模で成長可能な正しい方向を見つけることができるよう指導している。
文化的価値観や社会経済的要因の影響があるため、消費者行動は国によって大きく異なる場合がある。そのため、海外に展開しようとする企業は、最終消費者を完全に理解することから始めなければならない、とゴー氏は語る。
そして「ほとんどの企業は、優れた製品があれば、新しい市場を征服できるという誤った考えを持っています。これは真実から完全に外れています」。
国内市場で好評を博している製品であっても、特に進出する国の市場に応じて市場開拓戦略を調整しなければ、その市場ではほとんど関心を向けられない可能性があるという。
その他、官僚的な規制プロセス、特許の問題、模倣品を作る他社への懸念などといった事態も、海外に進出する際に発生する可能性がある。このような障害はどの経営者にとっても困難な課題であるが、海外市場に精通しているゴー氏は、企業の拡大に向けた独自の視点を提供する。
ゴー氏は20年以上にわたり様々な役員やコンサルタントの職に就き、SMEと多国籍企業 (MNC) の両方に対し、外国市場での製品発売を支援してきた。彼には TycoやAggreko PLCなどのMNCでアジア太平洋地域を指揮した経験がある。その経験はアジア市場に関する豊富な知見となり、その知見はスマートビルディングテクノロジーからモノのインターネットのデジタル化などといった多様な業界での深い知識によって補完されている。
ゴー氏はこれらの豊富な経験を活用して、グローバルな機会を最大化し、企業のイノベーションが消費者のニーズを満たすために、上級管理職を指導している。
「アドバイザーである私は経営チームのための健全な役員として機能します。チームがよい決定を下せるよう、客観的な目と耳となります。最終的には、どのような決定もチームに委ねられるのですが、チームは十分理解して決定を下しているので、私はとてもうれしく思います」
ゴー氏は、地元ではうまくいかないと考えヨーロッパへの参入を検討していた製品自動製造化企業の例を紹介した。この企業はその考えの中で、ビジネス効率を高めるため自動化に関心を持つであろうシンガポールと東南アジアのSMEを見落としていた。
この未開拓の市場を認識していたゴー氏はその企業を助け、思い込みを考え直し、顧客基盤と地元での強い評判を構築することに改めて焦点を向けるようにした。これは現地で存在感を示し、ヨーロッパの顧客を引き付ける出発点として役に立った。
優れた国際化戦略は成功への第一歩ではあるが、企業が望ましい結果を出すには、実行は適切なものでなければならない。時には、リーダーにプロジェクトを遂行させる意志がない場合がある。その他、コミュニケーション能力が低いためレベルを低下させる場合、監督と監視が十分ではない場合、市場状況の変化する場合がある。ゴー氏は、これらは最良の計画を狂わせることがあると述べた。成功を促進させるために適切な一連のスキルと精神力を育成することは、市場を分析することと同じくらい重要である。
ゴー氏の指導の下、地元のある製造業SMEは、導入を考えていた付加価値サービスの新しいビジネスモデルを作成した。製品と市場の特性を評価するのはもちろん、チームは自身の労働文化と人員の能力を十分に評価した。
その結果、最終顧客の好みに応じたマーケティング戦略に加え、顧客へのサービス提供を担当する熟練人材を育成するためのトレーニングイニシアチブを備えた包括的なアクションプランが作成された。
ゴー氏は、このような内部評価を実施すると、企業は計画を実行する準備をうまく整え、誤解の可能性を減らすことができるようになると述べた。ベテランコンサルタントにとって、国際化のための効果的な戦略計画は調整が重要である。それが社内の従業員であろうと社外の顧客であろうと変わりはない。
「顧客をよく理解している会社が業績を上げ、成功することができるのです」とゴー氏は締めくくった。