2021年12月
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慢性腎臓病を15分で判定するスクリーニングキット開発 タイ・チュラロンコン大学

タイのチュラロンコン大学は、11月12日、慢性腎臓病(CKD)の早期発見用スクリーニングストリップキットを開発したことを発表した。

同大学のナッタカイ・スリサワット(Nattachai Srisawat)准教授は、キッティナン・コモルピス(Kittinan Komolpis)准教授と共同で、患者が自分で検査を行える「CKDの初期段階のための革新的なセルフスクリーニングストリップキット」を開発した。

従来のCKDスクリーニングは病院でのみ実施可能であった。今回開発された尿マイクロアルブミン検査は、患者自身が検査できる画期的なスクリーニングキットである。起床時や朝食前に尿を採取し、テストストリップに3滴落とし、15分待つとバーが表示される。患者自身がCKDについて自身の状況を判定できる。

CKD患者とCKDでない人を比較した臨床試験の結果、本製品の感度は86%、特異性は94%、正確性は87%だった。特に糖尿病、高血圧、60歳以上の高齢者などの潜在患者の早期発見を目指している。本製品は、米FDA(食品医薬品局)に申請中で、年内に承認されれば、来年初めには発売できる予定。

ナッタカイ准教授は「今回の検査が国民健康保険制度に組み込まれ、CKDの可能性があるにもかかわらず症状が出ていない農村部や僻地の人々も含めて、誰もが検査を受けられるようになることを願っている」と期待を込めた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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