2021年12月
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9900万年前の化石からコメツキムシ発見 ミャンマー

ミャンマーで9,900万年前の琥珀の化石が発見された。この発見は、甲虫がどのようにして、そしてなぜ発光を始めたのか教えてくれる。

AsianScientist - 毎年、約100万人の観光客がホタルとそのまばゆい光のショーを見るために東南アジアや北アメリカの人里離れたマングローブの川や沼地を訪れる。ホタルはコメツキムシ上科の多くの生物発光性生物の1つであり、光と輝きを生み出す魅力的な能力を持つ。

コメツキムシの生物発光性の化学と生理学は現在かなり証明されてはいるが、そもそも能力がどのように、またはなぜ進化したのかについてはほとんどわかっていない。

現在、中国科学院南京地質古生物学研究所 (NIGPAS) が率いる科学者チームは、生物発光の進化に光を当てている。 チームの研究は英国王立協会紀要に掲載され、ミャンマー北部の琥珀色の化石から新しくコメツキムシが発見されたことを報告した。

絶滅したホタルの親戚にあたる標本は約9,900万年前のものであったが、琥珀の中で化石化したことにより、まるで生きているかのように保存されてきた。この思いがけない幸運により、研究者らは信じがたいほど詳細な調査ができる希有な機会に恵まれた。

「発光する甲虫類のほとんどは体が柔らかく、非常に小さいので、化石の記録はほとんどありません。しかし、この新しい化石は例外的に非常によく保存されており、腹部の発光器官もそのままです」

英ブリストル大学の研究員でNIGPASの准教授であるカイ・チェンヤン (Cai Chenyang) 博士はこのように話す。

研究者らによると、発光器官の発見は生物発光甲虫が白亜紀中期から存在していたことの証拠であり、この時代は、カエルや鳥などといった昆虫を食べる主な動物が繁栄し始めた時代と一致している。

「発光は、最初は柔らかく脆弱な甲虫の幼虫が捕食者を追い払うための防御メカニズムとして進化したと考えられています。後には成虫も発光するようになり、仲間を見つけるなどの他の機能を果たすために利用されました」とコメツキムシの専門家である、チェコ・パラツキー大学のロビン・クンドラタ (Robin Kundrata) 准教授は解説する。

今回の発見は、生物発光の進化に関する洞察に加えて、コメツキムシの生命樹に重要な枝を追加するものである。

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