2021年12月
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パンデミックからの回復へ、研究開発と人材育成への投資を促進 フィリピン

フィリピン科学技術庁(DOST)は11月10日、第6回全国R&D会議(NRDC)で、R&D投資の増額、人材育成の促進を表明した。

会議で発言したDOSTのグエヴァラ次官(写真提供:DOST)

フィリピン第6回全国R&D会議は、「R&Dによる回復への道(Road to Recovery through R&D)」をテーマにオンライン開催。フィリピンが国を挙げて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックから立ち直るためのプログラムや技術などを討議した。

会議に出席したDOSTのロウェナ・クリスティナ・L・グエヴァラ(Rowena Cristina L. Guevara)次官は、DOSTが過去8年間に実施した様々なプロジェクトを紹介するとともに、科学技術プロジェクトを成功させるためには人材育成が重要であることを強調した。

DOSTは、STEM分野の大学生や、サイエンス重視の高校(Philippine Scienc1e High School:PSHS)に対する奨学金を通して科学分野の人材育成を図っている。PSHSは1963年にスタートし、現在は全国16の高校でサイエンス分野でのキャリアに向けた教育を推進している。

また、DOSTの帰国科学者(Balik-Scientists)プログラムは、国外にいるフィリピン人科学者が帰国し、国外で得た知識をフィリピン国内で共有することを促すプログラムで、1975年の発足以来、577人のフィリピン人科学者が帰国し、国内の大学などで研究活動に参加した。

今回の会議で検討されたアプローチは、同国の「協調的な研究開発アジェンダ(HNRDA)」の一環。HNRDAは基礎研究、農学、エネルギー、気候変動による災害など、フィリピンが将来直面すると予想される諸問題を解決するための革新的なソリューションの開発を目指している。

フィリピンのR&D投資は過去30年、GDP(国内総生産)の0.14~0.18%で推移し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が推奨する2%に届かなかった。それにもかかわらず、ここ数年ではグローバルイノベーションインデックス(GII)で2014の100位から2020年にはインドを超えて50位にランクを上げるなど、革新技術分野で躍進している。

グエヴァラ次官は、「科学技術の投資額を2%まで引き上げる必要はある」としたうえで、「フィリピンは投資額が限られていても、技術革新分野で他の国と肩を並べて競争できる国であることが証明された」と同国の潜在能力をアピールした。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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