シンガポール首相府は11月22日、Industrial Transformation Asia Pacific (ITAP) 2021の開会式におけるヘン・スイキャット(Heng Swee Keat)副首相によるスピーチの内容を公開した。インダストリー4.0の波に乗るにあたり、シンガポールが重点的に取り組む課題として以下の"4S"を提唱した。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、インダストリー4.0の実現を加速させたが、それと同時に、先進的な製造業は従来の工場の枠に当てはめて考えることができないということを再認識させたという。「製造業の問題がどこで作るかではなく、どのように作るかへ移っていく中で、4Sを使いこなし、インダストリー4.0の波に乗る必要がある」とヘン氏は強調した。
ヘン氏による4Sに対するコメントは、それぞれ以下のような内容であった。
COVID-19によって世界中で露呈した物流リスクを分散させるために今後、東南アジアが重要な役割を担うことになる。その中で、シンガポールではサプライチェーンを端から端までデジタルでつなぎ、それによってレジリエンス強化を主導する取り組みを強化していく。
持続可能な開発とネット・ゼロ・エミッションに向けた国家ロードマップである「Singapore Green Plan 2030」を発表した。また、建物の持続可能性に関する基準がシンガポール内で最も高いジュロン・イノベーション地区からそのエコシステムを拡大し、先進的な製造業のための新しい持続可能なソリューションの実証実験の場として、より適した環境を作っていく。
シンガポールはグローバルなイノベーションの交わる地域として、COVID-19に際しても、PCR検査キットや、治療に係る必需品、ワクチン提供のためのシステムを開発してきた。より複雑で不確実な世界ではイノベーションがメーカーにとって重要な競争力となる。このため、より先進的なメーカーがここにイノベーションや研究の機能を設置することを歓迎するとともに、志を同じくするグローバルパートナーと協力できることを期待する。
インダストリー4.0を実現するにあたり、サイバーセキュリティの強化は技術的な課題にとどまらず、ビジネス上の課題と捉え、真剣に取り組む必要がある。シンガポールは、サイバーセキュリティに関する国連のワーキンググループの議長を務めており、先進的なメーカーが製造するIoT(モノのインターネット)やその他のスマートデバイスを含め、オープンで安全かつ相互運用可能なICT環境を構築する方法についての議論を深めたいと考えている。
ITAP 2021は、COVID-19パンデミックの発生以降、シンガポールでの最大規模のハイブリッドイベントとなった (参加者数:5000人)。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部