2021年12月
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トバ火山の超噴火の兆候、年代測定とコンピューターモデリングで検出

科学者らは地質学年代測定とコンピューターモデリングを組み合わせることで、絶え間ないマグマの蓄積が地球史上最大のトバ火山の超噴火の原因となったことを発見した。

AsianScientist - 科学者らは、トバ火山系の超噴火の背景にあるマグマの情報をつなぎ合わせ、噴火が近づいている時の兆候を検出できる新しい方法を考案した。調査結果は Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America:PNAS(全米科学アカデミー紀要)に掲載された。

インドネシアのスマトラ島にあるトバ湖は、表面上は静かな湖のように見える。しかし、その下には地球上でこれまでに発生した最大の噴火のうちの2つを数千年前に引き起こした巨大な火山系が隠れている。過去に大量のマグマを噴出したにもかかわらず、トバ超火山は現在も活動を続けている。

地質学者らは火山活動の可能性を予測するために、頻繁な地震、地面の隆起や変形、異常なガス放出などといった一般的な警戒の予兆となるものを特定している。しかし、超噴火は珍しく、その源に関する調査が不十分であることから、超噴火の予測は非常に難しいものとなっている。

現在、中国、インドネシア、マレーシア、台湾、スイスの科学者からなる国際チームが、火山の噴火の可能性を評価する新しい方法を開発し、トバ火山の底に潜むマグマ溜りがどのように巨大な噴火を発生させる状態となり、爆発したのかを再現させた。チームは、結晶化して時の試練に耐えるジルコンと呼ばれる鉱物を利用することで、噴火の日付を特定し、火山の火成活動の歴史を明らかにした。ジルコンの年代測定は新しいものではないが、チームはコンピューターモデリングを使い、この方法を補完した。

チームは、シミュレーションデータと実際の測定値を比較して、溶岩流その他の様々なパラメータがジルコンの結晶化年代に与える影響について調べた。驚くべきことに、その結果から、地表変形やガス放出など一般的にモニタリングの対象となるものは超噴火の前に大きく変化しない可能性があることが分かった。

さらに、チームは、マグマの平均発生量は超噴火の前後で変わらないことを発見した。トバ火山の超噴火はマグマの量が突然増加したために起こったのではなく、長い時間枠の中でマグマが徐々に蓄積し、数十万年から数百万年の間地下でため込まれたために発生したのである。

チームは、このように地殻が徐々に成熟し温度上昇が進んだために噴火が繰り返されるようになったことを発見した。地殻の継続的な加熱がマグマの冷却を遅らせ、それがマグマの蓄積を加速させるという悪循環が起こり、最終的には超噴火が頻繁に起こるようになる。

チームは、現在のマグマの蓄積率から、次の噴火は今から60万年後まで起こらないとが考えているが、小さな噴火はまだ起こるかもしれない。チームはこの技術を使用して世界中の他の超火山を研究すれば、噴火の可能性をもっと正確に予測できると期待している。

「超噴火前のマグマ溜りの熱状態を理解することは、壊滅的な出来事につながるプロセスを解釈するために重要です。私たちの方法は、他の大規模な珪質マグマ系に幅広く適用して、超噴火につながる可能性を評価することができます」と著者らは書いている。

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