インドネシアのネニ・シンタワダニ (Neni Sintawardani) 博士とシンガポールのリ・ホンギン (Li Hongying) 博士はそれぞれ、きれいな水ときれいな空気の実現に取り組み、2021年保険業者安全試験所・ASEAN・US女性科学賞を受賞した。2021年10月13日に発表された。
AsianScientist - ASEAN(東南アジア諸国連合)科学技術革新委員会は、米国国際開発庁とグローバルな非営利組織である保険業者安全試験所と協力して、東南アジア全体の女性科学者の業績を称えるために、2015年から毎年、女性科学賞を授けている。
対象は幅広く、学界から公的部門、民間部門、市民社会組織に至るまでSTEM(科学・技術・工学・数学)分野にかかわる女性が候補者となる。
2021年度の賞のテーマは「きれいな空気と水」。東南アジアでは約1億1,000万人が安全な飲料水を利用できない状況にある。大気汚染もASEAN地域の急速な都市化に伴い、警戒レベルにまで悪化しており、肺や心臓病などの健康問題にも関係し、生活の質を脅かしかねない。
これらの差し迫った問題に対処するために、インドネシア科学院クリーンテクノロジーチームの主任研究員であるシンタワダニ 博士は、工場の廃水流からメタンや二酸化炭素などの有毒ガスをろ過するバイオガスプラントの開発を進めた。
同博士は、ガス中のエネルギーを電気に変換しながら水を処理する研究している。この研究は地域の衛生システムを改善し、2,000万以上の人々が安全な水を利用できないインドネシアできれいな水の利用可能性を高めている。この大きな尽力が評価され、シンタワダニ 博士は研究主幹部門で女性科学賞を受賞した。
中堅科学者部門として受賞したリ博士は、シンガポール科学技術研究庁 (A * STAR) の高性能コンピューティング研究所 (IHPC) の出身である。
同博士は、流体の流れを予測する強力なアルゴリズムである計算流体力学モデルを使い、海洋生態系の汚染と空気感染の両方に取り組んでいる。研究モデルは海洋生物保護を目的とし、バラスト水が海に流出する前にその処理を行う高効率のSemb-Ecoバラスト水管理システムを設計した。
同博士は空気中での水滴の分散シミュレートのモデリング作業も行い、これは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染リスクの推定に役に立った。
一方、マレーシアのプトラ大学のアドゥワティ・サリ (Aduwati Sali) 博士と、ミャンマーのヤンゴン大学のセイン・レイ・アヤ (Seinn Lei Aye) 博士には、それぞれ中堅科学者部門と研究主幹部門の特別賞が与えられた。