2022年01月
トップ  > ASEAN科学技術ニュース> 2022年01月

スーパーコンピューターの開発で連携 タイとヒューレット・パッカード

タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)は、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)・タイランドと提携して、新しいスーパーコンピューターを開発する計画が明らかになった。2021年11月30日、同国のアネク・ラオサマタス(Anek Laothamatas)高等教育科学研究革新相が記者会見で発表した。新システムはNSTDAスーパーコンピューターセンター(ThaiSC)にて、タイ国内研究コミュニティをサポートするために使用される。

(提供:NSTDA)

NSTDAのナロング・シリラートウォラクル(Narong Sirilertworakul)長官によると、新しく作られる高性能なシステムは、人工知能(AI)とビッグデータ分析、医療研究のためのゲノミクスとバイオインフォマティクス、高度な材料研究のためのナノスケールとアトミックススケールのシミュレーション、産業研究・大気学・災害管理のための工学シミュレーション、といった様々な科学研究を促進する。現行のThaiSCシステムよりも30倍の高速度になり、2022年に設置・運用される予定である。

ThaiSCは公共・民間両分野の国内研究コミュニティに、最新のハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)資源を供給するための国家科学技術インフラストラクチュアとして設立された。

この数年間、ThaiSCは新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に対応する複数のプロジェクトをサポートしてきた。スーパーコンピューティング資源を提供し、国内の発生要因となる新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)株のゲノム配列を把握するための時間を、1週間から2時間に短縮した。また、分子動力学・シミュレーション・ファルマコアベースのスクリーニングといった計算科学ツールを用いて、SARS-Cov-2に有効な生物活性化合物を薬物およびハーブ抽出物のデータベースから特定し、新薬の開発に役立てた。そのほか汚染防止局と協力して、3日間のPM2.5予想を15倍速めるのに貢献した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る