2022年01月
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紙のように薄い生分解性亜鉛電池を開発、扇風機への電力供給に成功 シンガポール南洋理工大学

シンガポールの南洋理工大学(NTU)は、同大学の研究チームが、紙のように薄い生分解性亜鉛電池を開発したことを発表した。2021年12月14日付。研究成果は学術誌 Advanced Science に掲載された。

紙のように薄い生分解性亜鉛電池を示す研究者ら(提供:NTU)

開発した電池は、ハイドロゲルで補強されたセルロース紙の両面に電極をスクリーン印刷したものであり、フレキシブルでウェアラブルな電子システムの電源となる予定だ。電池を使い切ったら土に埋め、1カ月もすれば完全に分解されることから、環境的にも持続可能な電源としての活用が期待される。

研究チームは、実証実験を行い、4cm×4cmの電池が小型扇風機に電力を45分間供給することを確認した。曲げたり、折ったり、一部を切り取ったりしても使用できる。

「既存の電池の問題点であった大きさや形といった制限を受けずにデバイスを設計することができます」

物理・数理科学研究科のファン・ホンジン(Fan Hongjin)教授はこのように特徴を解説する。

そのうえで、電気電子学部のリー・ソーク・ウー(Lee Seok Woo)助教授はこの紙電池について「無毒でアルミニウムやプラスチックも必要ないため電子機器廃棄物の問題に貢献できる可能性があります」と期待を込める。研究者らは、この亜鉛電池を、折りたたみ式スマートフォンなどのフ レキシブル電子機器や、健康監視用の生体センサーに組み込むことができるのではないかと考えている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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