2022年01月
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幼児期の発達研究からコウモリの生態まで...5氏にシンガポール科学賞など授与

シンガポールは、生物医学と工学の分野で同国の最前線を推進した功績により、5人の研究者に2021年大統領科学技術賞などを授与した。

AsianScientist - シンガポールは、5人の創造力あふれる科学者たちによる国の研究開発への多大な貢献を認め、2021年大統領科学技術賞 (PSTA) を贈った。2021年12月10日、大統領官邸で今年の受賞者への表彰が行われた。

PSTAは元々1987年に国家科学技術賞として始まり、シンガポールが同国の科学者やエンジニアに授ける最高の名誉となっている。この賞は生物医学から材料工学まで、急を要する問題に取り組み独創的な発見と画期的な革新を行った優れた頭脳にスポットライトを当てる。

今回は、国内の科学機関に勤務する5人の受賞者に大統領科学技術メダル (PSTM)、大統領科学賞 (PSA)、大統領技術賞 (PTA) が授与された。興味深いことに、5人の研究分野はすべてライフサイエンスと関係している。これは、シンガポールがバイオテクノロジーとヘルスケアの分野で進歩を続けていることを表している。

2021年のPSTM受賞者は、シンガポールヘルスサービスのグループ最高経営責任者であるアイビー・エンジ (Ivy Ng) 教授とシンガポール科学技術研究庁 (A * STAR) の研究機関であるシンガポール臨床科学研究所 (SICS) の最高科学責任者であるピーター・グルックマン (Peter Gluckman) 教授に授与された。

エンジ教授は聴覚障害を持つ赤ちゃんのスクリーニングプログラムを主導し、また、サラセミアと呼ばれる遺伝性血液疾患の子供を持つリスクを持つカップルを特定するために、全国サラセミア・レジストリを設立した。彼女の取り組みは小児医療のあり方を変え、両疾患への介入プロトコルと臨床転帰を向上させた。

エンジ教授は受賞スピーチで、「私たちは取り組みが認められたことに大いに勇気づけられています。シンガポールの人々と他の国の人々の健康と幸福に向けて、さらに大きな前進を追い求める原動力となります」と述べた。

グルックマン教授は10年以上にわたって乳幼児期に関する研究を続けており、「成長転帰に関するシンガポールにおける成長(Growing Up in Singapore Towards health utcomes /GUSTO)」 を支える科学アーキテクトである。GUSTOは長年続けられている研究であり、母親の健康と幼児期の発達との関係を調べている。

彼の仕事は地域の医療政策に影響を与えただけでなく、人間の可能性に関する分野で才能ある人々のつながりを育み、全体的な成長の秘密を解き明かした。

グルックマン教授は受賞に際して「この賞は、シンガポールが世界の医学研究のために生み出した素晴らしい環境を反映しています。私たちの仕事が、人間の可能性を前進させるというシンガポールの使命と一致していることを嬉しく思います」と語った。

PSA受賞者は、米デューク大学・シンガポール国立大学(NUS)医学部のワング・リンファ (Wang Linfa) 教授とシンガポール南洋理工大学(NTU)のチェン・シャオドング (Chen Xiaodong) 教授に与えられ、それぞれ感染症とソフトバイオエレクトロニクスの分野で熱心に研究を進めている。

ワング教授はコウモリの生態および異種間伝播ウイルスについて広範囲に研究し、伝染性の高い病気の予防と管理を改善する基礎を築いた。彼は新しいコロナウイルスに対する中和抗体を検出する迅速検査キットの開発にもかかわった。これは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延を食い止めるために考えられた新しいツールであり、現在50カ国以上で使用されている。

チェン教授はソフトロボットその他の素材に人間の神経系を模倣した視覚的・触覚的な感知能力を備えさせ、生物学的信号を電気情報に変換した。チェン教授はこれらの取り組みを通じて、作物の健康モニタリング技術から健康ウェアラブル機器に至るまで、バイオエレクトロニクスや機能性材料を次世代に向かわせようとしている。

さらにPTAは、シンガポール国立大学 (NUS) ヨンルーリン医学部のトゥー・ヘング・フォン (Too Heng-Phon) 准教授に授与された。彼は、病気で上昇する分子シグナルであるマイクロRNAを検出する画期的な方法が認められた。彼の研究はその後、シンガポールを拠点とするバイオテクノロジー企業であるMiRXESによって商業化された。MiRXESはmiRNAバイオマーカーを探索し、胃がんのリスクをスクリーニングする世界初の分子血液検査などの早期がん検出ソリューションを開発する企業である。

シンガポール保健省の首席科学者であるタン・チョー・チュアン (Tan Chorh Chuan) 教授が主選考委員会の議長を務めた。2009年に賞が昇格してPresidentという語を冠するようになって以来、60以上の個人やチームが受賞した。PSTAは、研究の卓越性のレベルを上げ続け、シンガポール全体のイノベーション魂に火をつけている。

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