AsianScientist (2022年02月09日)-科学者らは、インドネシアのスラウェシ島でゾウムシ属Trigonopterus に属する新種のゾウムシ (weevil) を発見した。
インドネシアのスラウェシ島で見つかったゾウムシは、なんと28種という多くの種類だ。「weevil」であるが、「evil(悪)」ではない。 これらの新発見された生物は甲虫の一種であり、Trigonopterus 属に属していることがZooKeys 誌で発表された。
スラウェシ島は生物多様性の宝庫であり、山々や熱帯林には野生生物が生息している。インドネシア列島のまさに中心という位置から、種が急速に多様化するホットスポットにもなっている。アクシスジカ や林床で採餌し目にすることの少ないセレベスムジチメドリなど、多くの研究者はすでに新種の生き物に出くわし、進化のパズルをつなぎ合わせている。
この島の森林生態系には、ゾウムシなど、ほとんど見過ごされてきた多様な小さな昆虫も含まれている。印象的で光沢のある色を持つタマムシや大きなあごを持つクワガタムシとは異なり、Trigonopterus 種は成長しても約2~3ミリメートル程度にしかならない。この種は翅(はね)を持たず、生息地ではとても孤立した存在である。
さらに、この種は互いに異様なほど類似性を持っているため、一見しただけで新しい種を特定することは困難である。ありがたいことに、今では遺伝学技術を使用して、研究者らはこれらの生物のDNAを配列決定し、新しい種を区別できるようになった。
インドネシアのボゴリエンセ動物園博物館で甲虫の学芸員を務めるラデン・プラメサ・ナラクスモ (Raden Pramesa Narakusumo) 氏は、スラウェシ島の中央部にあるダコ山とポンパンジェオ山の斜面で小さなゾウムシを発見した。ドイツのカールスルーエ自然史博物館のアレクサンダー・リーデル (Alexander Riedel) 博士の協力もあって、彼はコレクションから28の新種のTrigonopterus を発見した。これにより、この属の既知の種の総数は132となったが、スラウェシ島が持つ多様性を考えると、ほんの一部に過ぎないであろう。
これらの新たな生物すべてを研究するにあたり、チームは適切な名前も考え出す必要があった。多くは特徴や発見された場所にちなんで名前がつけられるが、研究者らは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの流行時期にちなみ、1つの種をT. corona と名付けた。他の種はインドネシアの映画のキャラクターからT. gundala やT. unyil という名になり、さび色のゾウムシには、SFヒット映画のスターウォーズにちなんでT. ewok という名が付けられた。
研究者らは、新たに種が発見されたことは、スラウェシ島の地史に沿って甲虫の進化と多様化の展開について理解するために、さらに研究が必要であることを強調するものだという。
「インドネシアの生物多様性の大部分はまだ不明であり、種に名前をつけ、判断をしなければなりません。そうすれば、その名前を使い、保全と生物探査をさらに詳しく研究できます」
ナラクスモ氏はこのように話している。