タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)は2月18日、グラム陽性菌とグラム陰性菌の両方の病原体に作用する卵白タンパク質由来の抗菌剤が開発され、タイ学術研究会議(NRCT)発明大賞2022に選ばれたことを発表した。
NSTDAは、NRCT発明大賞2022に選ばれた卵白タンパク質から抽出した抗菌剤eLysozymeについて紹介した。この抗菌剤は、BIOTEC機能性成分・食品イノベーション研究グループのウィーラポン・ウォラプラヨート(Weerapong Woraprayote)博士が、業界のパートナーであるオボ・フードテック(Ovo Foodtech)社とエネルギー省鉱物燃料局(タイ)と共に開発した、食品産業や畜産業への応用が期待される製品である。
(提供:NSTDA)
eLysozymeは、卵白タンパク質由来の複数の抗菌ペプチドからなり、従来のグラム陽性菌に対する抗菌性のみならず、畜産業で問題となるグラム陰性菌に対しても抗菌性を高めた抗菌剤であり、グラム陽性菌とグラム陰性菌の両方の病原体に作用する。eLysozyme-T1とeLysozyme-T2の2種類の製品が開発された。
eLysozyme-T1は、食品保存料として製品の機能性を損なうことなく、殺菌液卵製品の保存期間を4週間から8週間へと倍増させることができる。eLysozyme-T2は、畜産業における病原性微生物の制御を目的として設計され、エビの2大疾病である早期死亡症候群(EMS)と白色糞便症候群(WFS)に関連するビブリオ種を抑制することが実証されている。また、養豚場と養鶏場で試験する計画が進められている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部