2022年03月
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アルツハイマー、女性の方が早期になりやすい理由を解明 シンガポール南洋理工大学

シンガポールの南洋理工大学(NTU)とシンガポール国立大学(NUS)は2月16日、アルツハイマー病罹患時における記憶力の低下が男性よりも女性に早期に起こる原因を解明したと発表した。研究成果は科学誌 Aging Cell に掲載された。

NTUのリーコンチアン医学部(LKC Medicine)のチョン・トー・ヒン(Ch'ng Toh Hean)助教らが研究を率いた。マウスを用いた研究 によると、脳のシナプスの可塑性の低下や記憶障害が雌に多く起こることが、女性の方がアルツハイマー病を発症しやすい原因である可能性があると結論づけられた。

アルツハイマー病は、世界で最も一般的な神経変性疾患であり、世界中で4,000万人以上の人々の記憶、思考、行動に影響を及ぼしているとされる。認知症患者の60~70%を占め、男性よりも女性の方が多く罹患することが知られている。

研究チームのチョン・トー・ヒン助教(左から2人目)ら (提供:NTU)

研究チームは、マウスを用いた実験により、雌のマウスは加齢に伴い、雄のマウスに比べて情報処理能力の低下が早く、その結果、記憶の形成が弱くなり、記憶障害が増加することを発見した。

また、アルツハイマーの遺伝子変異を持つ雌マウスの脳は、新しい情報に適応して新しい記憶を形成するシナプスの柔軟性(可塑性)が低く、長期増強(LTP)の低下が早いことが判明した。LTPは、長期記憶を形成する神経細胞間でシナプスの強度が増加するプロセスであり、脳が記憶を形成し新しいことを学習する方法を導く主要な細胞メカニズムの1つである。

これらのことから、シナプスの可塑性低下や記憶障害がアルツハイマー病の発症と密接な関係にある可能性が考えられる。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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