2022年04月
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気候変動、空気中の微生物の構成に影響 シンガポール南洋理工大が研究

シンガポール南洋理工大学(NTU)環境生命科学工学センター(SCELSE)の科学者らは、地表面から3,500メートルの高さまでに生息する空中浮遊微生物に関する画期的な研究を行った。地球の下層大気において細菌と菌類は非常に特別な状況で生息し、この環境が変わると人類の健康と食糧供給に悪影響を与える可能性があることを発見した。2月8日付発表。

研究成果は、学術誌 Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of AmericaPNAS :全米科学アカデミー紀要)に掲載された。

温度は、空中浮遊物微生物の生態構成に最も大きな影響を与える要素であるという。空気中の温度が変化すると、発見される種と細菌の菌類に対する割合は大きく変化する。気候変動と地球温暖化による気温の上昇は、空気中の微生物生態系および陸上生態系・水界生態系に影響を及ぼす。

もし空気中微生物群が世界的に変化すると、呼吸器症候群の患者らの症状は悪化し、人類の健康を損なう可能性がある。農産物の収穫にも影響し、食の安全を脅かすかもしれない。

研究チームは、シンガポールの50階建ての集合住宅(ピナクル・アット・ダクストン)、スイスのセンティス山、ドイツの測定塔・研究用航空機といった様々な場所から集めた空気サンプルを分析した。この新しく包括的な上下方向の空中浮遊微生物マップを基準として、気温が2℃以上、上昇した場合の空気中微生物群の変化を、科学者らはモデル化し予測することが可能になった。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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