2022年04月
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水質汚染を改善する新ソリューションで優勝...フィリピンチーム、ユネスコのハッカソンで

AsianScientist(2022年03月08日)-フィリピンの女性だけの「WONDERPETS」チームは、水質汚染を改善する持続可能な方法を考案した。 国際女性デー(3月8日)にちなんで彼女たちが国連教育科学文化機関(ユネスコ)のハッカソンで優勝したことを祝おう。

フィリピンのバタンガス州立大学の女性だけのチームが、ユネスコの世界工学デーのハッカソンで最優秀賞を獲得した。このイベントは、「安全な水とトイレを世界中に」などといった国連の持続可能な開発目標 (SDG) に取り組むソリューションの設計に焦点を当てている。受賞者は2022年3月4日に発表された。

2020年に設立された持続可能な開発のための世界工学デーは、気候変動に対処し、持続可能な開発アジェンダを推進する工学イノベーションの役割について意識を高めることを目的としている。ユネスコは 今年の記念日の一環として、若いエンジニアたちがSDGに関する3つの課題に対し、創造的なソリューションを考えるグローバルハッカソンを主催した。

3つの課題とは、革新的で責任ある材料の使用と非生分解性廃棄物の削減、エンジニアリングソリューションでの生物模倣、および変化する気候での水の利用可能性であった。

23の国と地域から125チームが参加し、リーナー・ジャックエリン・ブール (Reaner Jacqueline Bool) 氏、ギア・ルワルハティ (Ghia Luwalhati) 氏、ニコル・エリザベス・タン (Nicole Elizabeth Tan) 氏のフィリピン人トリオが、水質汚染を改善する新しいソリューションで1位を獲得した。 チームは自分たちをWONDERPETSと名付けた。プロジェクト名である「Water remediatiON using metal-organic framework DERived from PET bottleS(ペットボトルから派生した有機金属構造体を使用した水浄化)」の略である。

飲料であれ化粧品であれ、市販のペットボトルは通常、ポリエチレンテレフタレート (PET) という材料でできている。毎年、世界中で約1,400万トンのプラスチックが海に流れ込んでいる。プラスチック汚染は蔓延し、海洋生態系、食料と水の安全性、そして人間の健康を脅かしている。ペットボトルは焼却されると気候変動にも影響を与える。

WONDERPETSの発明は、金属有機構造体 (MOF) と呼ばれる結晶性材料を使用して、ペットボトルを水質汚染物質から浄水器に変換することであえる。MOFは、金属イオンと有機分子が結合してできたカゴ状の繰り返し構造体である。これを使い、内部表面積が大きく、多孔性が高く、優れた吸着剤となる材料を作ることができる。

吸着剤はスポンジのように作用し、水に入れると汚染物質を取り除き、何度でも使用することができる。チームは、このMOFを、水溶性になるように設計したペットボトルの成分から抽出した。従来の方法ではMOFを合成するために有毒な有機溶媒を使用するが、チームの方法はずっと安全であり、コストは低い。

この発明は、プラスチック汚染の対応に役立つだけでなく、汚染された水を処理するのにも役立つ。清潔で安全な水を供給する持続可能な方法となりえる。

一方、次点のチームのメンバーは、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学オカナガン校のアマー・ザバール (Ammar Zavahir) 氏、パトリック・ジレク-ロドリゲス (Patrick Jilek-Rodriguez) 氏、ウィルソン・ホーランド (Wilson Holland) 氏であった。彼らは、カナダの先住民コミュニティに浄水を供給できる移動式雨水収集システムを開発した。

優勝チームを含め、合計9つの決勝戦進出チームが、SDGの3つの課題に対するソリューションを紹介する短い動画を制作した。これらの動画は、2022年3月4日にユネスコが主催したライブストリーミングイベントで初公開された。

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