シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)は3月8日、シンガポールのサステナビリティ目標を支援するために、新しい研究施設「化学・エネルギー環境持続可能性研究所(ISCE2)」を設立したと発表した。シンガポールの気候変動目標を達成するために学会・公的機関・産業界と提携し、地元のエネルギー・化学・製薬部門がより持続可能になることを支援する。
デジタル化と自動化により産業界が再生可能な炭素とグリーン化学へと移行するために、A*STARは脱炭素化・環境にやさしいグリーン材料・エネルギー効率を改善するグリーンプロセスの3つの分野に焦点をあてる。技術革新例として、異なる素材から成るためリサイクルの難しい食料品の多層包装材の替わりに使用できる、リサイクルできる持続可能なポリマーの包装材がある。
A*STARは、低炭素でエネルギー効率の高いシンガポールの未来への活動を支援する態勢を整えている。主要な研究開発の取り組みの一環で、日本のIHIと提携して、二酸化炭素(CO2)をカーボンニュートラルなメタン(天然ガス)とオレフィンに変換する技術が含まれる。オレフィンはポリマー製造の原料としてよく使用される。
もう一つの例として、A*STAR・シンガポール経済開発庁(EDB)・JTCコーポレーション が、炭素回収利用トランスレーショナルテストベッド(CCUTT)の開発・研究する取り組みがある。これは、エネルギー化学企業・技術採用者・ソリューションプロバイダー・高等教育機関を含む13のエコシステムパートナーと協力するものだ。CCUTTは、発展する炭素回収利用(CCU)を産業界が採用することを促すことを目的として、サステナブルエネルギー・化学公園としてジュロン島の一部に設置される。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部