シンガポールで国際水週間(Singapore International Water Week:SIWW)が4月17日から21日まで開催された。SIWWは水に関するイノベーティブな技術等が共有され、さらなる議論を行うための場となっており、今回で9回目の開催。会期中はリー・クアンユー水賞の授与やフォーラム・セミナーの開催、技術の展示、および施設へのツアー等が行われ、水に関連する様々な技術に触れることにより、水の持続可能性確保の重要性を再認識する機会となった。
マリーナベイサンズで開かれたシンガポール国際水週間の技術展示会
国際水週間中のイベントとして、次の2つが注目された。
東京大学の山本和夫名誉教授が「リー・クアンユー水賞2020」の受賞者となったことは3月17日に発表されていたが、それからほぼ1カ月後の4月18日にハリマ・ヤコブ大統領による賞状とメダルの授与、さらに山本氏による記念講演と記念晩餐会が開催された。授賞理由として、世界で初めて浸漬型膜分離活性汚泥法(メンブレインバイオリアクター)を実用化することで高度な下廃水処理を可能としたこと、また山本氏が敢えて特許を取得しなかったことで技術展開が容易となり、世界中で同技術を活用した施設が稼働されたことから世界の多くの人々に恩恵をもたらしたことが強調された。
記念撮影に収まる山本氏(左から2人目)とハリマ・ヤコブ大統領(右から2人目)
シンガポールのジュロン島で脱塩施設が4月17日に開所し、ヘン・スイキャット副首相出席の上、開所式が行われた。同施設は従来施設に比べて5%エネルギー効率がよく、1日に13万7000立方メートルの処理能力がある。これはシンガポールで必要とされる水の量の約7%にあたる。
この施設はシンガポールのジュロン島に建設され、3.7ヘクタールの敷地面積があるが、海水から塩を取り除くことで飲用水への利用が可能となる。従来施設と異なり、人力に頼る部分が少なく、3人での稼働が可能だ。
シンガポールが水を確保する方法として、
-がある。
このうち、(4)が技術としては最もコストがかかるが、天候に左右されず常時利用可能であることから水源としては重要とのことであった。
(文・写真:JSTシンガポール事務所長 金子恵美)