2022年04月
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汚れの多い場所を選択して掃除...自律型掃除ロボット用のセンサー開発 シンガポール

AsianScientist(2022年03月01日)-シンガポールの研究者らは、自律型掃除ロボット用のセンサーを設計し、改良された掃除ロボットを作る。

アジアの一部の地域では、すでに自律型ロボットが家や公共スペースをキュッキュと掃除してくれている。シンガポール工科デザイン大学 (SUTD) の研究者らは、清掃能力をさらに高めるために、ロボットが汚れを効率的に検出し、汚れの少ない場所よりも汚れの多い場所を優先的に掃除するセンサーシステムを開発した。この発明は Sensors 誌に発表された。

自動機械とロボットのおかげで、家事はとても楽になった。古い掃除機の代わりに床の形を判断して移動し、カーペットの上全体を自力で移動できる円盤型の掃除ロボットが使われるようになってきている。このようなロボットは家の床であれば問題なくきれいな状態にしてくれるが、空港のような大きな公共スペースは、表面が不均一であり、床全体の清潔度が異なるため、まったく別の話となる。

さらに、人は多くの場合、表面を見て、あるいは触り、目に見える埃の粒を確認して清潔度を判断するが、清潔さの程度を判断する一定の基準はない。

これに対処するため、SUTDの研究者たちは、自律型ロボットが体系的かつ効率的に清潔度を評価できる、新しいセンサーシステムとコンピューティングから成り立つシステムを設計した。チームはシンガポールのナショナル・ロボティクス・プログラムの支援を受け、手作業による「触って調べる」という手法からヒントを得て、面積当たりの汚れ具合を測定する研究を進めた。

センサーは透明な粘着テープを表面に押し付け、押し付ける前と後のテープの清潔度を比較する。次に、テープの最初の外観と比較するベンチマークスコアを割り当てる。「0」が最も汚れていて、「100」が最もきれいなスコアである。その後、掃除を始める。

しかし、汚れが多い箇所も少ない箇所もある。そのため、ロボットに隅々までチェックさせるという方法は非効率的である。そこで、研究者たちは、移動と清掃を改善するために、フロンティア探査アルゴリズムと組み合わせた汚れ確率アルゴリズムも開発した。

これにより、ロボットが未踏の表面を探し出し、探査する範囲を最大化することができる。同時に、ロボットは床の視覚パターンの変化その他のさまざまな指標に基づいて、汚れている可能性が高い箇所を特定できる。次に、ロボットは汚れた箇所に向かって移動し、その部分の清掃を優先して行う。

この戦略は、昔ながらの清掃の問題を解決する新しい方法となるが、チームはこのシステムの限界も分かった。 たとえば、半屋外の箇所では、表面が粗いために汚れの粒子がテープに付着しづらく、屋内の同じ箇所よりもスコアが低くなった。表面のきめが異なる床の間を移動すると、誤検出も観察された。試験から、清掃検査ロボットをさらに研究し、改善する必要性が明らかになった。

「将来的には、視覚と触覚だけでなく、嗅覚と微生物密度も考慮に入れて、清掃の品質を包括的に検査することを目指しています」と、SUTDのモハン・ラジェス・エララ (Mohan Rajesh Elara) 助教授は話している。

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