2022年05月
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災害リスクの軽減に超小型衛星データなど科学技術が貢献 フィリピン科学技術相表明

フィリピンのフォルチュナト・デラペニャ(Fortunato de la Peña) 科学技術相は、オンラインにて開催されたアジア太平洋科学技術防災会議にて、災害からの回復力を高める上で科学・技術・イノベーション(STI)が大きく貢献すると説明した。国営フィリピン通信社(PNA)が4月7日に伝えた。

フォルチュナト・デラペニャ氏 (Photo grabbed from Phivolcs' Facebook page)

会議の中で、デラペニャ長官は「災害リスク軽減の中核であるSTIの向上により、回復力を高めるための戦略や政策を開発することができた。フィリピン科学技術省(DOST)が開発した技術から収集したデータは、そのアプローチのバックボーンにもなっている」と述べ、次のような具体的な事例を紹介した。

  • フィリピン国土交通省は、フィリピン製のマイクロサテライトや超小型衛星のデータを利用し、ハザードマップの作成や、地上の環境状態や状況の把握に成功した。
  • フィリピン国防省の資金援助を受けて、フィリピン火山・地震学機構 が主導し「GeoRisk Philippines」という危険やリスクを知るためのデジタルプラットフォームを開発した。
  • DOSTは、稲妻と雷雨の理解(ULAT)研究プロジェクトを通じて、気象庁の予報能力向上に成功した。
  • 国防省からの資金提供を受けて、フィリピンのマプア大学では30名の研究者が建物や橋の耐震性を監視するシステムであるフィリピン製のユニバーサル構造健全性評価・記録システム(USHER)装置の開発に取り組んでいる。
  • DOSTは地震の影響をシミュレートする地震被害迅速診断システム(REDAS)を開発した。
  • フィリピン地球情報資源観測センター(PEDRO Center)は、地球観測衛星追跡アンテナを備えた地上受信局で、いくつかのインフラプロジェクトの復旧を監視している。
  • DOSTは、すぐに食べられるお粥や燻製魚のライスミールなど、栄養価の高い非常食を開発した。

デラペニャ氏は「STIの向上により、災害の影響を軽減、または防止できる。DOSTは、科学技術の動向をリードし、特に災害リスク軽減のための研究と応用について先見性のある計画を立てることを約束する」と表明した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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