シンガポールの南洋理工大学(NTU)は4月13日、シンガポールに生息する複数種の植物が汚染土壌から有害な重金属や金属類を除去する効果をもつことを実証したと発表した。
研究を行ったのは、NTU材料科学工学部のラム・イェン・ミン(Lam Yeng Ming)教授が率いるシンガポール国立公園庁(NParks)との共同研究チームだ。
これまで、汚染土壌からの重金属除去には、土壌洗浄や酸浸出などの手法が用いられてきたが、コストが高く、刺激の強い化学物質を使用しているのに対し、今回実証された植物を用いる手法は、これらに代わる環境に優しい方法となりうる。
(提供:NTU)
カドミウム、ヒ素、鉛、クロムなどは、人間や動物に有害性のある重金属や金属化合物であるものの、土壌中に自然に存在し、有毒なレベルになることはほとんどない。しかし、大気汚染により土壌の表層に蓄積・残留する傾向があるため、長期間にわたって蓄積され、高いレベルに達する可能性がある。
調査対象の植物は、広く入手可能であり、シンガポールに自生または帰化している種を含むため、生態系への影響を最小限にとどめて導入可能であり、重金属の除去に用いることができる。これは、土壌中の汚染物質管理において持続可能で環境に優しい新規手法の開発につながると考えられる。
この植物由来の土壌改良剤の開発は、人類全体の喫緊な課題に対処する持続可能なソリューション開発を目的としたNTU2025戦略計画に沿った取り組みの一環であり、環境への影響を軽減することを目指している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部