シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)は4月11日、シンガポール皮膚研究所(SRIS)のアトピー性皮膚炎(AD)研究に関する国家主導のプログラムについて紹介し、最新の研究を踏まえた多角的なアプローチの重要性を強調した。
ADは、特に先進国において有病率が高い一般的な疾患であるが、根本的な原因や治療法は分かっていない。
同プログラムは、ADの根本的な原因を明らかにし、シンガポールをAD研究のグローバルリーダーとすることを目的としている。同国におけるADの疫学、健康負荷、システムバイオロジーを理解するため、AD患者と、対照群として非罹患者それぞれ2,000人以上のコホートから得られた、臨床データ、ゲノムデータ、トランスクリプトームデータ、画像データを組み合わせ、ADの病態理解と治療実現を目指した研究が進められている。
最新の研究では、A*STARスキンリサーチラボの主任研究員であるジョン・コモン(John Common)博士は重症化に皮膚マイクロバイオーム(皮膚に共生する微生物の総体)の変化が関与することを明らかにした。
コモン博士は、「ADは、皮膚のさまざまなメカニズムに影響を与えるため、ADの疾患サイクルにはさまざまな側面があります。そのため、AD研究をより加速させるためには、より緊密に連携したプログラムが必要になります」とプログラムの今後の発展に期待を寄せた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部